50代からの仕事・転職・再就職でやっておくべき7つのこと

50代からの仕事・転職・再就職でやっておくべき7つのこと

50代は仕事やプライベート、健康面において、多くの転換期を迎えます。「これまでの」キャリアや人生経験を踏まえつつ、「これからの」人生をどう歩んでいくかを必然的に考える時期でもあります。

役職定年を迎える方、想定外のリストラなどネガティブな壁にぶつかってしまうケースもあれば、これまでのキャリアとは180度違った仕事にチャレンジする人生を選択される方もいます。

50代からの仕事はどうあるべきかを、7つの視点でまとめました。その中には転職や再就職の現実や、これからの生き方、セカンドキャリアをどう作っていくかも含まれています。人生の後半戦について、一緒に考えていきましょう。

50代の再就職と厳しい現実

転職活動に時間を要する50代

厚生労働省の「雇用動向調査」によると、転職入職率(離職から1年以内に転職した人の割合)は、40代とさほど変わりません。しかし、40代が転職に要する期間が3か月なのに対して、50代は6か月と倍の時間を要します。さらに50代の転職では、年収が減少する割合が多く、特に55歳を超えると年収増の見込みはより厳しくなります。

国が再就職をサポートする動きもある

国はハローワークに「生涯現役支援窓口」を設置したり、中高年を採用する企業に対して助成金を用意したりするなど、50代の再就職を積極的にサポートしています。仕事が見つからないと嘆いている50代に、追い風が吹いています。

こうした50代の厳しい転職の現実を踏まえつつ、新しい仕事先を見つけるためには、転職市場をマクロの視点とミクロの視点の両方から見る必要があります。

マクロの視点とは、50代の転職市場全体と業種や職種ごとの求人状況、未来予想です。厳しい転職市場であっても、業種や職種を細かく見ていくと、他業種より優位に転職活動できるところもあります。また業界天気図を使って、今後の見通しをチェックするのもいいでしょう。

そのうえで、これまでのキャリアや経験が、転職市場においてどれだけの価値があるのか、50代になっても勝負できる人材であるのかを知る機会を作ってください。ネット上の情報収集だけでなく、実際に転職活動をしてみると自分の市場価値が測れます。あるいは転職エージェントや再就職支援会社のキャリアコンサルタントに相談したり、キャリア相談サービスを活用しましょう。

ミクロの視点とは、個別企業の求人状況です。マネジメント能力の高い50代が必要な企業もありますし、欠員が出て急募している企業もあります。65歳定年制、70歳定年延長の未来を見越して、50代は若い人材と考える企業もあります。業界全体は厳しくとも、企業単位で見ていけば、採用事情は大きく異なるのです。

【参考記事】50歳からの再就職と厳しい現実 成功する仕事の探し方

50代前半と50代後半とで違う転職環境

早期退職の対象にされやすい50代。リストラの対象になった場合、企業側が再就職支援会社と契約していれば、再就職を支援するサービスを利用でき、専任のキャリアコンサルタントと転職活動を進めていくことになります。再就職支援サービスだけを利用してもいいのですが、より成功確率を上げるために、自分でも転職活動は進めておきましょう。

できることなら、会社の業績や業界全体が下降線をたどると分かった時点で、転職を検討しておきたいものです。リストラが決まったあとの転職市場は、リストラされた同僚たちがライバルになります。特に大手企業でリストラが行われた場合、たくさんの人材が同じ時期に転職市場に放出されるため、数少ない椅子の奪い合いになります。

50代といっても54歳までの前半と、55歳以降の後半では、仕事に対するモチベーションや転職環境はだいぶ変わります。なぜ、50代前半と後半で違うかというと、55歳で役職定年になる企業が多いからです。55歳を境に急激に変化する、会社での立場や仕事の役割を受け入れ、前を向いて仕事ができますか?

仕事へのやりがいを失いかねない中、定年までの時間や人生の残り時間を考えたとき、本当に望む働き方について、改めて考える機会になるはずです。55歳という分岐点を意識しながら、50代前半の過ごし方、50代後半の働き方を考えましょう。

【参考記事】50代前半と50代後半の転職と再就職の違い

50代女性の転職

30代、40代女性の転職理由のトップは「仕事内容に不満があるから」ですが、50代女性は違います。

「人間関係に不満がある」がトップで、次いで仕事内容への不満の順番になります。例えば、ハラスメントが横行するブラック企業的な職場であれば、人間関係をリセットするために転職する価値がありますが、人間関係への不満はどの職場においても、それなりにあるものです。

「隣の芝生は青く見える」的な発想で転職すると、新しい職場はそれほど青くなかったという結果になりかねません。転職で人間関係が改善される保証はどこにもないのです。特に慣れない新しい職場では、人間関係の良し悪しの判断がつかない状況がしばらく続き、1年くらい経って初めて気づくことも多いです。

人間関係の不満が転職の理由であれば、まずは今の職場で改善できないかを考えてみる手もあります。仕事の役割の見直しや異動を申し出る、社内公募に応募してみるなどの方法もあるので検討してみましょう。

50代女性の転職活動では、ハローワークを利用している人が多く、次いで転職サイトの順となっており、意外と転職エージェントを使った活動は多くありません。転職エージェントを利用するためには、一定のスキルやキャリアがないと登録できないため、もし登録できれば、ライバルはグッと減ります。転職サイトの利用は、女性特化型やシニア向け特化型のサイトがあるので、積極的に活用してみましょう。

50代女性が最も利用しているハローワークですが、民間の転職サービスと比べて、求人数は多くありますが質がよくありません。玉石混交の求人の中から、自分に合った仕事を見つけるのは大変です。相談員もいますが、こちらも民間の転職サービスやキャリアコンサルタントと比較して、レベルが落ちます。

不合格が続き、何でもいいから仕事が欲しいと思ってしまうと、求人の質より量に走りがちです。自分の希望する条件(年収、年間休日などの待遇、勤務地、通勤時間)をどんどん妥協していき、結果として転職を繰り返す可能性もあります。

【参考記事】50代女性に多い転職理由と再就職の成功の秘訣

50歳からの転職成功例

45歳を過ぎてから、3回転職に成功した50代がいます。決してハイスペックなスキルやキャリアを持っていたわけではなく、管理職経験のない普通の50代の方です。

なぜ転職に成功できたかというと、「いい意味で」会社選びにこだわりがなかったからです。50代にもなると、自分のキャリアや実績に誇りがあるため、どうしても譲れない、妥協できない部分が出てきます。自分はこのキャリアで20年やってきた、同期よりも先に部長に昇進できたといったプライドは大切ですが、これまでの実績が転職市場や他社で認められるかどうかは別です。

20代30代の求人が中心で、50代は応募しても意味がないと思われている大手転職サイトも使い、友人知人を使った人脈による転職活動も地道にやって、複数のルートを使って転職活動を展開したのです。

転職を成功させるために、とにかく打席に多く立つ努力をしていました。求人票を見ただけで、自分には合わないと判断して応募を取りやめるのではなく、50代は書類選考の通過自体が厳しいのだから、どんな求人でもまずは応募してみて、書類選考に合格して、面接に行ってから判断するくらいでちょうどいいのです。

業種や職種の選び方は、これまで経験してきた業界のほうが当然有利ではありますが、業界に関係なく使えるスキルもあります。営業力、コンサルティング力、部下の育成が得意など、汎用性のあるスキルは誰にでもあるので、視野を広く持ちましょう。

50代の転職は、成功例以上に失敗例が多くネット上にあふれています。そうしたネガティブな情報に押しつぶされないよう、長期戦に耐え得るメンタルが必要です。

【参考記事】50歳からの転職成功例 管理職経験のない男性が再就職できた理由

50歳からの仕事に求めること

これまでやってきた仕事は、誰のためのものでしたか?

ひょっとすると家族のため、子どものため、ローン返済のためなど、自分よりも優先すべきもののために仕事を頑張ってきた方もいると思います。その仕事や働き方がストレスになっていなければいいのですが、自分を犠牲にするあまり、働くこと自体がイヤになってしまったり、仕事が億劫になったりしていないでしょうか?

生活していくうえで、もちろんお金は大切です。一方で50歳を過ぎて、自分の60代、70代の老後の未来を想像したときに、今の仕事で後悔はないでしょうか? 死ぬ間際に、この仕事を続けてきてよかった、わたしは充実した人生を送ったと思えるでしょうか?

1度、自分自身を最優先にして、仕事を見直してみましょう。もし、あらゆる制限がなかったとして、どんな仕事がしたいですか? 小さい頃、社会人1年目に、あなたが目指したものは何ですか?

とりあえず退職までは今の仕事を続け、退職した後でゆっくり老後について考えよう、新しい仕事を検討してみようと思っている方もいるかもしれません。そうではなく、今、この瞬間から、本当にやりたい仕事について考えてみてください。

50代を過ぎると「仕事が好き」と思える人が、60代、70代と年齢が上がっていくにつれ増えていきます。20代、30代の頃には分からなかった「仕事が生きがい」という言葉の意味が、年齢を重ねるごとに理解できるようになるようです。

仕事があれば、いくつになっても社会とつながっていられます。自分の老後を豊かにしてくれる、いい刺激を提供してくれる仕事を、改めて見直してみませんか?

【参考記事】50歳からの人生を豊かにするための仕事 今考えておくべき3つのこと

50代からの生き方

50代になると、生き方が二極化してきます。新しい仕事や趣味にチャレンジする方もいれば、年齢以上に老け込み、まるで隠居生活のような生き方をする人もいます。

自分自身を客観的に見たとき、ご自身の実年齢より、若く見えますか? それとも老いていると感じますか? この考え方を「主観年齢」といい、主観年齢が行動につながっていると言われています。

主観年齢が若い方は、気持ちも充実しています。それゆえ実年齢以上の行動力があり、転職や再就職など仕事についても前向きです。一方、主観年齢が実年齢以上に老いている方は、生活や仕事にハリがなく、これまでのスキルや人脈の中だけで生き、守りに入った行動になりがちです。

50代になっても必要とされる人材になるためには、20代、30代など若い世代とのコミュニケーションが欠かせません。生まれたときからインターネットと共に生きてきた、デジタルネイティブ世代からは学ぶことは実は多いのです。成熟した50代の大人でありつつ、一方で若い世代から刺激をもらいながら、50代を充実させてみませんか?

【参考記事】【50代の生き方】仕事の悩みが解決する気の持ちようとは?

50歳からのセカンドキャリア

50歳からの仕事は、転職や再就職に限った話ではありません。第二の人生はどんな職業に就きたいか、セカンドキャリアについて考えたことはありますか?

セカンドキャリアは頭の中だけで考えるのではなく、限られた貴重な時間をすべて「小さな実行」に移してみてください。人生経験が豊富であるために、失敗を察知する能力の高い50代は行動が慎重になりがちで、何も考えずに勢いだけで行動していた若い頃のような瞬発力に欠けます。

数々の失敗から学んだ結果、ムダな行動をしない賢い経験値が身に付いているのですが、これが足かせになってしまいます。たまたまやってみた趣味が仕事になったり、ふと出向いたセミナーに触発されて新しいビジネスを立ち上げたり、買った本がきっかけで起業の道を選んだりと、小さな実行がセカンドキャリアのきっかけになり得るのです。

50代の皆さんに特に意識してもらいたいのは会社に所属している自分ではなく、会社のかんばんも役職も何もない、まっさらな自分です。何もない50代の自分を、どのように成長させていきますか?

会社に所属していたとしても、死ぬまで会社にいられるわけではありません。いつかは個としての自分で勝負する時期がやってきます。そのときのために、まっさらな自分が何をして、何ができるのかをセカンドキャリアと合わせて考えてみてください。

もう50代なのか、まだ50代なのか? モノの見方を少し変えるだけで、転職や再就職、これからの仕事の見え方は変わってくると思います。ご紹介した7つの視点で、50代の自分を見つめ直すきっかけにしてください。

【参考記事】50歳からのセカンドキャリアを始めるために必要な3つの考え方

CanWillとは

『Can Will』では、第一線のキャリアコンサルタントが、ミドル・シニア世代のあなたの強みや志向を掘り下げて、納得感の高いキャリア相談を行っています。 「転職すべきか、今の会社で働き続けるべきか?」、「自分の強みが分からない」、「職務経歴書の書き方が分からない」、「自分の市場価値について客観的な評価ほしい」。 このようなキャリアに対するお悩みやモヤモヤがありましたら、ぜひ一度『Can Will』のキャリアプロフェッショナルにご相談ください。