50代女性に多い転職理由と再就職の成功の秘訣
50代女性が、仕事に就いている割合はどれくらいだと思われますか?
内閣府の調査「男女共同参画白書 令和元年版」の労働力率によると、50歳から54歳までの女性で79.2%、55歳から59歳までの女性で73.3%です。昭和53年と比べ、20%増えており、社会全体の高齢化が進む今、50代女性の労働力に期待が集まっています。
実は50代女性の労働力率は、20代、30代女性の労働力率とほぼ同じです。20代、30代は結婚や出産で一時的に仕事から離れるため労働力率が下がりますが、50代は再就職できる確率自体が下がるために割合が減ります。
50代女性に多い転職活動の傾向を見ながら、再就職に成功するための具体的な方法について考えていきます。
50代女性に多い転職理由
マイナビ転職動向調査によると、50代女性の転職理由のトップは「職場の人間関係に不満があったから」です。他の世代は「仕事内容に不満があったから」がトップなので、50代女性ならではの特徴と言えます。
職場の人間関係だけでなく、家族との関係も大きな変化を迎える時期です。例えば、子どもの独り立ち、パートナーとの関係や自分の老後、親の介護問題など、自らの人間関係がうまくいかないと、ちょっとしたことでも職場の人間関係に不満を持ってしまいがちです。
50代女性が転職活動で最も利用しているサービスは、ハローワーク。次いで大手転職サイトとなっており、人材紹介会社の利用は多くありません。
求人に年齢制限を設けてはいけないと法律で決まっていても、50代になると書類選考や面接通過率が悪化する、大手転職サイトから送られてくるスカウトメールが決まった業界や職種からしかこないなど、50代女性の転職の壁はあります。
こうした厳しい現実でも、50代女性の転職活動自体を前向きな行動と捉える方が多く、転職意欲と転職市場のニーズがまだマッチできていない状況と言えるでしょう。
ここからは、50代女性が転職に成功する確率を上げるためにできることについて、具体的に説明します。
世代・女性に特化した転職サイトを利用する
大手企業の求人が多く掲載されている転職サイトは、50代女性が応募しても残念ながら書類選考で落とされてしまいます。ライバルは20代、30代であり、男女の争いもあります。
それよりも女性の求人に特化した転職サイトの活用や、40代、50代の求人を集めたシニア向け転職サイトなど、より50代女性に近い特化型の転職サイトに登録することで、書類選考の通過率から少しずつ上げていきましょう。
ブランク期間を埋めるリカレント教育
50代女性の中には、仕事のブランク期間がある方もいます。企業がブランクを嫌う理由は、そもそも働く意欲がないのではないか、他の会社でも採用されなかったからブランクが長引いているのではないか、ブランクでキャリアが停滞してしまったのではないかという見方をされるからです。
リカレント教育という言葉をご存知でしょうか? 学び直しとも表現されるリカレント教育とは、生涯にわたって教育と就労のサイクルを繰り返すことを言います。人生100年時代と言われる今、旬なキーワードとしてよく出てくる言葉です。
正社員の地位を確保したからと言って、安泰ではありません。時代の変化のスピードは昔よりも加速しており、常にキャリアアップのための学習が必要な時代です。ブランク期間に何もしてなかったのではなく、何かを学ぶ行動に移すことで、採用確率が上がる場合があります。
50代女性としての人生経験を仕事に結びつける
マイナビが発表した「ミドルシニア採用企業レポート」によると、50代を採用した理由のトップが「豊富な経験」です。次いで「年齢は関係ない」、「専門性が高い」、「モラルや責任感が高い」の順でした。企業が求める「豊富な経験」は抽象的ですが、これは何を指しているのでしょう?
これまでのキャリアやスキルに加え、主婦の方なら結婚や出産、子育ての経験を通じて、何か仕事に生かせるものがあるはずです。それらを箇条書きで語るのではなく、仕事に結びつけるストーリーを紡ぐことで、採用の確率が上がります。
50代女性の働き方は自分優先で!
働き方を選ぶ際に、仕事内容よりも正社員、契約社員、パートといった雇用形態や肩書きを優先していませんか?
正社員の肩書きも大切ですが、50代を過ぎたら、自分自身を雇用形態に合わせにいくのではなく、自分が望む理想の働き方を考えたうえで、時間の制約等を考慮しながら、自分に合った雇用形態を決めていい時期だと思います。
これまでは、夫や子どもなどの家族、世間体といった自分の外にあるものに、自分の働き方まで大きく影響を受けてきたかもしれません。しかし、50代からは自分優先で物事を考え、決断し、仕事を含めて人生を謳歌するタイミングです。
まだまだ生活費の捻出のために働き続けないといけない方もいると思いますが、そうであったとしても50代以降の働き方は、自分自身を成長させるものであったり、人の役に立ったり、社会とのつながりで刺激を受けたりするものであって欲しいです。
ストレスを抱えながらお金のためだけに仕事をする働き方から卒業して、仕事は楽しいもの、生きがいを感じられるものになるような働き方に変えていきましょう。
人生100年時代において、平均寿命が男性よりも長い女性は特に、まだまだこれからと思っているかもしれません。しかし平均寿命ではなく、健康寿命で見ると、実は男性とさほど差がないのです。これは何を意味しているのでしょうか?
50代女性が健康でいられる時間はどれくらい?
2020年の日本人の平均寿命は、女性が87.74歳、男性が81.64歳です。一方の健康寿命ですが、2016年のデータで男性が72.14歳、女性が74.79歳となっています。
健康寿命とは、何不自由なく日常生活を送り、自立して生活できる期間のことで、介護が必要になるまでの期間とも言えます。女性は長生きですが、健康寿命は男性と2歳程度しか差がありません。言い換えると女性は、健康でいられる期間は男性と変わらず、むしろ介護を受ける期間が13年近くあることになります。
人生の目標を平均寿命ではなく健康寿命で考えたとき、50代女性ならば、健康でいられる期間は残り約25年になります。あくまで日本人全体のデータ上の話ですが、自立して元気に動き回れる期間は、思っている以上に短いのです。もちろん、50代女性のすべてが残り25年で、介護を受ける立場になるわけではありません。
東京都健康長寿医療センター研究所の調査によると、高齢期の就労が寿命や健康寿命を延ばす効果があることが示唆されています。介護を受けることなく、健康寿命を延ばすためには、ストレスなく楽しめる働き方の模索が大切です。
60代、70代の働き方まで考えると、50代で意識した正社員などの肩書きはどのくらい大切なものでしょうか? どんなカタチでもいいから、少しでも長く社会とつながり、仕事を通じて何かしらの役割を果たしていくことが生きがいにつながります。
子どもや配偶者から介護されることなく、健康寿命と平均寿命の差をできるだけ小さくするための働き方は何かと考えると、50代女性が選ぶべき仕事や仕事への価値観が変わってきませんか?
お金を優先してきたこれまでの働き方と違って、自分のこれからの人生の健康を優先する働き方はどんなものでしょう? 雇われるより自ら起業したり、フリーランスの道を選んだりしたほうが、ストレスなく楽しい働き方になるかもしれません。
先ほどの研究所のもうひとつの調査によると、金銭目的のみの就労は高齢期の就労による健康効果を減弱させる結果も出ています。幸せに働き続けるために何ができるか、50代になった今、生きがいにつながる働き方がどんなものかを考え、準備を始めてみてください。