キャリア相談と転職相談とでは何が違うのか?
転職エージェントに所属するキャリアコンサルタントに転職の相談をした経験がある人は多くいると思いますが、キャリア相談をした人はそれほど多くないかもしれません。
キャリア相談はハローワークや就労支援センターなどの公的機関が無料で相談に乗ってくれる窓口を設置していますし、民間は転職エージェントがキャリア相談を受けつけているところもあります。どんな違いがあるのでしょう?
キャリア相談と転職相談の違い
キャリア相談とは目の前の転職活動の相談に乗るのではなく、長期的な視点でキャリアについて考えることを指します。例えば、3年後、5年後のキャリアプランやキャリアデザインを一緒に考えます。一方の転職相談はどの会社に転職すべきか、年収は、年間休日は、ポジションはといった、短期的な転職支援や求人紹介を指します。
厳密に区別されているわけではないのですが、民間の転職エージェントの場合はキャリア相談を集客の窓口にして、その後転職支援サービスを受けてもらう流れを作るために設けているところもあります。多くの企業が集まる転職フェアなどでも、企業の求人ブース以外のところで、転職相談窓口が設置されています。
転職相談に来た希望者をそのまま転職サイト登録に誘導したり、転職エージェント登録に誘導したりするなどの導線のための窓口とも言えます。ハローワークなどの公的なキャリア相談は営業的なものはありませんが、転職エージェントの登録時に求められる一定のスキルやキャリアがなくても、誰でも相談が可能です。そのため自分のキャリアレベルと釣り合わないケースもあるので、相談する際は注意が必要です。
キャリア相談をして時間をかけて転職を検討する
キャリア相談も転職相談も一緒だからと、転職エージェントに行って相談するとします。もちろん相談に乗ってくれるところもありますが、基本的には転職希望者を会社にマッチングして、その年収の何割かをもらうビジネスモデルです。
ただ相談に乗るだけではすぐには会社の業績にもつながりませんし、個人の成績にもつながりません。そういった状況であっても、長期的なキャリアについて相談に乗ってくれるキャリアコンサルタントもいますが、基本的にはひたすら求人を紹介するサービスだと思っておいたほうがいいです。
また転職エージェントの場合は、登録期間に制限があります。そのため、期間内に内定を取ろうと必死になって転職希望者を全力で支援してくれる分、長期的な転職を考えている人には圧力と感じる場合があります。
転職エージェントに登録する際転職希望時期を質問されますが、今すぐの転職を希望している人が優先されるのは、そうした背景があります。いいところが見つかったら転職したいぐらいのレベルの人にとっては、転職エージェントでの長期的なキャリア相談は圧力を感じると思います。
民間のキャリア相談を活用する
ハローワークや転職エージェントよりもキャリアカウンセリングに特化した、民間のキャリア相談を活用したほうがいいです。対面やメール、オンラインなど様々な方法で、キャリアの相談に乗ってもらえます。キャリアカウンセリングの方法も様々ですし、費用もかなり幅があるので、自分にあったところを選びましょう。
40代以上のキャリア相談はどうすればいいか?
40代以上に特化した、民間のキャリア相談サービスが少しずつ増えてきました。求人数が減り、転職が厳しくなる40代にとっては、ありがたい環境が整いつつあります。
しかし年収が高く貯金もある40代が、藁をもすがる思いで利用するこれらキャリア相談サービスにかかる費用は10万円~40万円とかなり高額であることも事実です。
それくらいの思い切った金額を投資しなければ、自分自身が変われないと思えるのならいいのですが、自己分析やコーチング、強みを見つけるストレングスファインダーなど、自分自身でキャリアについて勉強すれば、自分で解決できる部分も正直あります。
40代以降のキャリアが硬直化する理由のひとつは、これまで積み上げてきたスキルに固執してしまうからです。転職エージェントに登録すると、今持っているスキルやこれまでのキャリアに合った求人先ばかり紹介されますし、転職活動をしても書類選考を通過するのは同業種や同職種ばかりになるので、やむを得ない部分はあります。
しかし自分が気づいていない実行していないだけで、キャリアにはかなり幅があります。プロ野球選手やサッカー選手が必ず監督やコーチ、解説者になるのではなく、自ら起業をしてスポーツと関わる人も増えてきました。またアナウンサーもフリーでアナウンサーとして活躍するのではなく、企業の広報として働く方も増えてきました。
相談先はキャリアコンサルタント以外にも
もうひとつオススメなのは、身近にいる信頼できる上司、友人に相談してみることです。キャリアの相談をする時点で、転職の意思があるかもと思われてしまうかもしれませんが、あくまで長期的なキャリアについて聞きたいという姿勢で臨んでみてください。
同じ会社や同じ業界のアドバイスは、抽象的になりがちな第三者のキャリア相談よりも参考になります。具体的になり過ぎる分、自分のキャリアの幅が狭くなるデメリットもありますが、キャリア相談しつつすぐ転職を考えている人にはおすすめです。
特に異業種で働いた経験のある上司や友人を捕まえて相談してみると、自分のキャリアやスキルと他業種との意外な接点が見つけられるケースもあります。アナウンサーほど情報がオープンにはなっていませんが、意外と異業種・異職種への転職経験者は身近にいるので相談してみましょう。