降格人事で退職を決断する前に知っておくべきこと

降格人事で退職を決断する前に知っておくべきこと

降格人事とは、従業員の地位や役職が下がる人事のことで、懲戒処分に相当する罪を犯した場合や就業規則に違反する勤務態度、例えば遅刻や無断欠勤を繰り返していれば、降格人事を言い渡される可能性があります。

自分で身に覚えのある懲戒処分であれば、降格人事に同意できると思うのですが、人事異動に伴う降格人事ならどうでしょう? 例えば転籍や出向など、自分にとって不利な降格人事は受け入れられるでしょうか?

降格人事を言い渡されたとき、会社に留まるか退職を決意するか? 自分の尊厳を傷つけられる局面ですが、降格人事とはどういうものかを理解してから退職するかどうかを決めましょう。

降格人事は周囲への影響が大きい

懲戒処分による降格人事であれば、理由が明確なので他の従業員も不思議に思いません。しかし、他の理由で降格人事になった場合、従業員のモチベーション低下につながります。なぜあの人は不祥事を起こしていないのに、降格人事が行われたのかと社内が疑心暗鬼になりますし、場合によっては、降格人事への不満から連鎖的な退職につながりかねません。

仕事上のパフォーマンスが著しく悪くて降格人事が行われたとしても、就業規則に降格処分の理由を記載しておかなければ、違法性のあるものと判断され、裁判に発展する場合もあります。

会社側もなかなか降格人事を実行できずにいる一方で、年功序列的なポジションの確保を良しとしない企業もあります。そういった企業は、どういった降格人事のステップを踏んでいるのでしょうか?

PIPとは

降格人事のほかに、PIP (業績改善計画:Performance Improvement Plan)を行う企業もあります。ある一定の期間を設定したうえで、そこまでに業務を改善してくださいと会社側から申し出があります。リストラのひとつの手法でもあり、外資系企業などで行われています。

仮に決められた期間で業務改善できずに降格した場合、転職活動の給料の基準は降格後のものになってしまいます。なので、PIPを実行する会社側の意図が分かった場合は、早い段階で転職活動をしたほうがいい場合もあります。

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用

降格人事を行う会社側も気を使いますし、一方で従業員側もパフォーマンスが悪ければ降格人事もやむを得ないと思いつつ、長年の慣行である年功序列が当たり前と思っていれば、実力主義の会社に居心地の悪さを感じるかもしれません。

こうした両者の不満を解決するために、雇用をジョブ型からメンバーシップ型へ移行する企業が増えています。これまではメンバーシップ型雇用が主流で、いわば人に仕事を割り当てる方法が取られていました。ジョブ型雇用はその逆で、仕事に人を割り当てる方法で、欧米企業などで主流の考え方です。

降格人事に対する不満は、人に対して仕事を割り当てるために起こることです。そうではなくジョブ型雇用であれば、仕事のディスクリプションが明記されているため、そのポジションと自分のキャリアやスキルが対比できます。その結果、実力不足と自ら認めるケースもあります。

ジョブ型雇用の場合、自ら昇進の機会を得に行くわけですが、一方で職種要件を満たせない場合は、降格人事もあります。自分に足りないスキルやキャリアの習得機会を会社側も提供するわけですが、それでも要件をクリアできなければ降格もあり得ます。

労使双方が納得しなければ、降格人事は実現しません。プライドが傷つけられ、感情的になる気持ちも分かりますが、退職を決断にする前にこうした降格人事の仕組みを理解しておきましょう。そのうえで退職を決断するか、転職するかを改めて考えてみてください。

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