転職で年収が下がる許容範囲がいくらかを決めるべきか?

頑張って転職活動をしたにもかかわらず、年収が下がる場合があります。
転職を機に年収アップを狙っていた人にとっては受け入れ難いことですが、一方で10%程度の年収ダウンは許容範囲として受け入れる方もいます。どのような場合に、年収が下がるのを許容できるのでしょうか?
自分の資産状況から許容範囲を考える
住宅ローンや教育ローン、生命保険など、月々の支出がガチガチに固定されていない状況で、貯金など生活資金がある場合は年収ダウンを受け入れやすい状態と言えます。
わたし自身がこのパターンに当てはまるのですが、介護離職をしてこれまでのキャリアとは無関係のフリーランスになった際、年収の下がり幅は50%を超えました。それでも許容範囲と思えたのは、生活費や家賃を除く月々の支払いがほとんどなく、当面生活できる貯金もあったので問題ありませんでした。
どうしても外せない月々の支出が決まっている状況であればあるほど、年収が下がることを許容できなくなりますし、10%の下げでも許容できないと思います。転職によって年収が下がるのを許容できるかできないかは、収支状況や資産と密接に関わってきます。
未経験の職種にキャリアチェンジする
わたし自身も当てはまりますが、未経験の職種へのキャリアチェンジは大幅に年収が下がる可能性が高いです。なので年収だけを考えれば避けたい転職のパターンですが、もし自分が望んだキャリアチェンジだとしたらどうでしょう? 元々やりたかった職種へ転職できるのであれば、貯金など十分備えたうえで年収が下がるのを受け入れられるのではないでしょうか?
平均年収の少ない業種や職種に転職する
年収が上がりすぎてしまう5つの転職事例では、平均年収の高い業種や職種へ転職すると年収はすぐ上がると書きました。逆もまた然りで、平均年収の少ない業種や職種へ転職してしまうと、自分の設定した年収ダウンの許容範囲を大きく超えてしまいます。
しかし自分が望んだキャリアチェンジであればいいですし、転職先の会社が将来大きな成長を見込めるのであれば、リスクを取って転職するのもありでしょう。
大企業から中小企業への転職
給与水準の高い大企業から中小企業へ転職すると、年収が下がるケースがあります。なぜ大企業から中小企業へ転職を決めたのでしょう? 例えば大企業では仕事の役割が決まっており、自由な裁量権が与えられずに仕事の面白さを感じられなかったストレスが大きかったのであれば、年収が下がることよりも仕事の楽しさを取っての転職はありだと思います。
どれもよくある年収の下がる例になりますが、最後に最も大切な判断基準をご紹介します。
年収が下がるストレスを感じるかどうか?
年収が下がる許容範囲は、年収が下がったときのストレス以上の見返りがあるかどうかで決まると思います。
上記の例で示したとおり、年収が下がっても仕事の自由度が上がったり、自分のキャリアプランに基づいたキャリアチェンジであったりすれば、年収が下がるストレス以上に仕事の面白さを感じられて、受け入れられるかもしれません。
わたしは年収よりも、自分の時間を自由に使えるかどうかのほうが優先順位が高かったので受け入れられました。今日は頑張って働くけど、明日は全く働かないといった、仕事のペースを自分で決められるかどうかが重要だったのですが、実現できています。年収は下がってしまいましたが、会社勤めのストレスからは完全に解放され、満足しています。
年収が下がるストレスや後悔をずっと引きずってしまうようなら、おそらく次の転職をすることになるでしょう。年収が下がる許容範囲は金額以外の要素も大切なので、自分の中の優先順位をしっかり決めておきましょう。
最後に転職で年収が下がる確率が高まる、40代以降の賃金動向についてご紹介します。
40代の転職における賃金動向
厚生労働省が公表している令和2年転職者実態調査の概況の調査結果を見ていきましょう。調査では転職によって賃金が増加した、変わらない、減少したと回答があり、さらに世代別に分かれています。
20代、30代は「増加した」の割合が、「減少した」を常に上回っています。40代も実は同じく「増加した」の割合のほうが多いのですが、「減少した」の割合が増えているのが特徴です。
40歳~44歳、45歳~49歳で見ると、「増加した」割合は40歳~44歳で41.7% 45歳~49歳で39.7%となっています。一方「減少した」割合は40歳~44歳で37.4%、45歳~49歳で32.5%となり、増加した人の割合に近づいています。また「変わらない」の割合も増えています。
そのため40代以降も年収が増える可能性は十分あるのですが、やはり年収が下がる確率も高くなるので、年齢も年収の下がる要因のひとつとして考えておきましょう。
40歳以降になると、転職先が絞られていきます。本当は年収アップを狙った転職をしたくても、年収ダウンを受け入れて妥協する、許容するケースが増えていることが調査結果からも明らかになっています。生産年齢人口が減ってきているとはいえ、40代以降の人材のニーズが高まっている感覚はもうちょっと先の話かもしれません。
改めて自分自身が年収減を許容できるのはどんなケースなのか、年収が下がる代わりに得たいものとその優先順位を考えておきましょう。
さらに年齢を重ねるにつれて、年収が下がること以上に仕事があったり、見つかったりすることに対してありがたみを感じる時期も来るかもしれないので、あまり年収の増減にばかり意識を向けないほうがいいかもしれませんし、年収増ばかりにこだわる必要もないと思います。