転職におけるキャリアデザインの作り方の例と考え方
大学には、キャリアデザイン学部・学科やキャリアデザイン論といった講義があります。社会人よりも自由度が高く、将来設計がしやすい学生時代から、キャリアデザインを始める人もいます。そもそもキャリアデザインとは何なのか、キャリアデザインにおける転職とはどういう意味を持つのかについて、考えていきましょう。
キャリアデザインとは?
キャリアデザインとは、企業の中で目標とするポジションにつくまでの道筋が示されているキャリアパスや、数年先の将来の仕事について考えるキャリアプランよりも上位に位置していて、仕事だけに留まらない包括的な考え方です。
キャリアデザインでは、プライベートも含めた自分のライフスタイル全体を考えますが、人生において仕事の占める割合は大きいですし、仕事を生きがいとする人も多いので、キャリアデザインするうえで仕事はとても大切です。
今の仕事の延長上でキャリアデザインを設計できるのなら問題ないのですが、自分の目指している方向と合致していないようなら転職を選択肢に入れて、キャリアデザインを設計する必要があります。
キャリアデザインの例として使えるツール
キャリアデザインを自分で設計するためには、どうしたらいいのでしょう? まずはネット検索をして、キャリアデザインシートをダウンロードしてみてください。多くのキャリアデザインシートには、下記の3つの項目があります。
- 過去の振り返り
- 自己分析
- 将来の目標
キャリアデザインシートには仕事に関係する項目が多いものもありますが、そうするとキャリアプランの作成になってしまいます。例えば専門職のキャリアプラン、管理職のキャリアプランなどシートの種類は豊富にあります。専門職のキャリアについては、専門職を極める仕事例とキャリアのゴールとは? を読んでみてください。
できればライフスタイルの項目が多くあるキャリアデザインシートを選び、仕事一辺倒にならないようキャリアデザインの設計をしましょう。
例えば結婚、出産、子育て、老後、自分の趣味などを、キャリアデザインシートの項目に加えてみてください。これらの項目が加わるだけで自己分析するにせよ、将来の目標を立てるにせよ、仕事中心のキャリアデザインと違ってきませんか?
また年齢軸を加えてみると、キャリアデザインが充実します。例えば40代になると、親の介護が始まってしまうかもしれません。セカンドキャリアをどうするかまで考えておいてもいいでしょう。
会社が提示するキャリアパスにはこうした項目が含まれておらず、外部研修の機会などでキャリアデザインを設計するとライフスタイルまで含まれている場合が多いです。自分の人生全体を設計できるキャリアデザインシートを選ぶことで、本来のキャリアデザインが完成します。
転職する?しない?キャリアデザインを描いてみよう
自分でキャリアデザインを設計してみると、今の仕事を続けていても意味がない、描く未来に到達できないとなるかもしれません。仕事上での悩みや将来への不安が大きくなったときにキャリアデザインをして、転職を考えるきっかけにするといいです。
転職の準備のために、キャリアプランを考える人は多くいます。しかしキャリアデザインまで広げておくことで、面接合格や内定欲しさのためだけに作ったキャリアプランではなくなりますし、キャリアプランに説得力が加わります。
転職理由の上位に、職場の人間関係や待遇への不満、成長の機会が得られないなどがありますが、本来は自分の設計したキャリアデザインと方向が違っているから、転職活動すべきなのです。
どんなに待遇に不満があったとしても、仕事を通じた先に自分のキャリアデザインしたゴールがあるのであれば、今の仕事に大きな意味があります。職場の人間関係に不満があったとしても、自分のキャリアデザインに強い意思があるのなら、小さなことに思えるかもしれません。
転職理由に、自分のキャリアデザインと方向が違うという人はなかなか現れませんが、それくらいまでしっかりキャリアデザインに落とし込めていると、転職のタイミングは自ずと見えてくるようになるかもしれません。
40代からのキャリアデザイン
40代になると、プレーヤーとしての仕事よりもマネジメントの仕事が増えてきます。管理職志向であれば問題ありませんが、専門職のまま技術やスキルを極めたいと考える人もいるでしょう。
また役割の変化によって、これまでの自分のキャリアのまま50代、60代を迎えてもいいのだろうかという迷いが生じやすい時期でもあります。
20代30代の頃は、がむしゃらに今の仕事をキャリアアップすればいいと考えていたかもしれません。しかし40代になると同僚がリストラされたり、50代など先を見据えて独立したりする人など、キャリアが多岐に分かれていきます。
もし前に作ったキャリアデザインがあるなら、40代で1度見直しを行いましょう。役職定年や定年を迎えたとき、介護が始まって介護と仕事の両立をしなければならないときなど、若い頃とは違ったライフイベントがたくさんあります。
ある程度自分の得意分野やキャリアが固まりつつある40代の自分が、想定していない環境の変化にどれだけ順応できるでしょうか? 柔軟性のある方ならどんな荒波も乗り越えていけますが、柔軟性がないと考えるならキャリアデザインを設計しておいてシミュレーションするといいです。
いざというときに慌てて会社を辞めないためにも、過去に作ったキャリアデザインがあるとしたら40代で1度アップデートを行っておきましょう。