転職でキャリアアップは難しい? できる人の考え方
面接官から転職理由や志望動機を聞かれたときに、
「キャリアアップするために転職を決意しました」
と答える人はたくさんいて、ネット記事の例文を調べて答えているのかと思うくらい決まり文句のように面接の現場で遭遇します。
改めてキャリアアップについて問われた時、どういう意味か答えられますか? よく分からないまま、転職でキャリアアップするのは難しいと考えているかもしれません。キャリアアップできる人はどんな方法で実現し、どんな考え方を持っているのでしょう?
キャリアアップの本当の意味とは?
キャリアアップ(career up)を直訳すると、経歴を向上させるとなります。これまでの経歴にさらに専門的な知識やスキルを身に付けて、自分の能力を向上させるプロセスがキャリアアップです。
キャリアアップは、どんな指標で測られるのでしょう? 年収が増えた、役職に就いた、大手企業に転職できたら、キャリアアップに成功したと考える方もいるかもしれません。家族や友人、知人などに、こうした指標を用いて説明すれば納得する方もいるでしょう。
一方で大手企業の部長職になり年収が大幅に増えても、キャリアアップできていないと感じる人もいます。せっかく社内政治を勝ち抜いて偉くなったものの、これまでのキャリアやスキルが他社では全く通用しないと分かっているから、キャリアアップを感じられないのです。
そう考えると本当のキャリアアップとは、自分のやりたいことがあってその中でステップアップしていかなければ意味がありません。また他者に対して示すものではなく、自分自身の中にある指標とも言えます。
キャリアアップの2つの方向
キャリアアップには、2つの方向があります。1つ目は、社内でジョブローテーションしながらキャリアアップする全方向型です。2つ目は、ひとつの職種で専門性を追求するスペシャリスト型です。
ある商品やサービスを市場に投入する場合、商品企画やマーケティング、プロモーションといったすべての流れを把握しながら、自分のキャリアを高めていきたいと考えるか、商品企画の部分をとことん追求して、その道のプロと呼ばれるまでになりたいかで進むべきキャリアの方向は全く違います。自分が目指すキャリアアップの方向を、まずは決めておきましょう。
理想は自分の進むべき方向と、会社の人材育成の方向が合致していることです。しかし、時として自分が望まない人事やプロジェクトへのアサインが起こり得るのも会社員人生です。そうなったときに、納得してキャリアアップの道を歩めるでしょうか?
特に40代を過ぎると想定していなかった内示を受けて地方へ異動になったり、キャリアとは無関係の部署への異動になったりする機会が増えます。しかも異動に不満があったとしても、若い頃のように簡単に転職できない状況になっているため、渋々異動を受け入れるしかないのです。
こうしたネガティブな異動があったとしても、キャリアアップは可能です。なぜなら自分では気づいていないスキルややりたいことが見つかる可能性が高まって、進むべき方向の確認ができるからです。
ネガティブなきっかけであっても新しい仕事にチャレンジしてみて、実はこれまでやってきたキャリアアップの方向が間違っていた、自分には合っていなかったと再認識するケースもあります。また新しい人との出会いがきっかけで刺激を受け、自分のやりたいことが見つかる可能性だってあります。
転職をきっかけにキャリアアップすること自体は能動的なものですし、モチベーションも高く保てます。一方、想定外の異動はなかなかモチベーションを保つのが難しいかもしれません。しかし考えようによっては、どちらも新しいことにチャレンジしていることに変わりありません。
いわゆる社内転職と考えて、自分のキャリアアップに生かしてみてもいいと思います。仮に新しい部署があっていない、自分の進むべき方向とは違うと思ったら転職を検討すればいいです。キャリアチェンジをしたあとに、キャリアアップするほうが正解の場合もあります。
40代になるとキャリアアップといいつつ、自分の能力の限界が見えてきて今以上のキャリアアップができずに頭打ちになる場合もあります。時として一貫性よりも柔軟性を大事にしたほうが、自分のキャリアにプラスに働く場合もあります。キャリアアップの2つの方向を示しましたが、別の道もあり得ることを頭に入れておくべきです。
キャリアストレッチとは?
慶應義塾大学名誉教授の花田光世氏が書いた著書「働く居場所の作り方」の中に、キャリアストレッチという考え方があります。キャリアストレッチとは、仕事を通じて自分が成長し、チャンスが広がることであり、そこから自分の新たなライフスタイルを構築することを言います。
キャリアストレッチは、自分の人生や生き方、人間力を伸ばしていく中で、新たな仕事の機会を得ることです。キャリアストレッチの定義に、報酬や地位は含まれていません。
40代、50代になって自分のキャリアを振り返ったとき、この仕事を続けてきてよかった、あの時転職を決断していなければ今の自分はなかったと思える人生であって欲しいです。キャリアアップができる人は、自分が後悔しない決断を繰り返している人だと思います。
年収や地位だけをキャリアアップの指標にするのではなく、キャリアストレッチ的な考え方をベースにして、自分の納得いくキャリアアップを目指してください。
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