専門職を極める仕事例とキャリアのゴールとは?
会社員のキャリアイメージは、一般社員から管理職、役員へのコースを思い浮かべる方が多いと思います。しかし、誰もが管理職(マネジメント)になりたいわけではないですし、とことん専門性を極めたい、専門職としてのキャリアを歩みたい人もいます。
専門職の仕事例として医療系、会計なども含まれますが、一般的な事業会社の部署で専門職のキャリアを創設した事例と、最終的に専門職キャリア制度がどうなったかまでご紹介します。
専門職キャリアの仕事の実例
わたしが在籍した会社にあった専門職は、商品開発のスペシャリストとしてのキャリアでした。それまでは商品開発で成功した人、結果を残した人はそのまま管理職になり、自ら商品開発はせずにマネジメントとして、チームを管理していました。
しかし、商品開発は個性の強い世界です。ヒット商品を生み出す能力が高いからといって、マネジメント能力も高いとは限りません。結果として、マネジメントがうまく機能しない時期がありました。
そこで会社は、新しく専門職のキャリアパスを新設したのです。商品開発のスペシャリストとしてキャリアを積み、組織のマネジメントはしなくていい、いわゆる商品開発の上級職として専門職キャリア制度が創設されました。但し専門職であっても上級職のポジションのため、他の商品開発メンバーに対してサポートやアドバイスをする必要はありました。
専門職のキャリアは、その人にしかできない個性を発揮できる仕事が向いています。しかも直接的に会社の業績にリンクする仕事のほうが評価しやすいですし、成果にもつながります。一方でマネジメントをしない分、より商品開発に特化した仕事をするわけですから、成果が出ないと評価は厳しいものになります。
専門職キャリア制度創設のその後
専門職キャリア制度は、ある意味成功しましたが、ある意味では失敗しました。
というのも、専門職のポジションを設けやすい職種とそうでない職種があったからです。どの職種に対しても専門職を設け、キャリアパスが設定されたのなら、会社の制度として定着したかもしれません。
しかし、専門職キャリア制度を実施したのは1つの部署だけでした。他部署には専門職はおらず、ロールモデルとなる人材が増えていかなかったのです。女性管理職が増えない理由の記事でも、ロールモデルとなる人材が周りにいないと書きましたが、全く同じことが専門職キャリア制度でも起きました。
最終的には、このキャリア制度は上級職の退職とともに廃止されてしまいました。
専門職のロールモデルが必要
専門職キャリア制度を創設する場合は、周りにも分かりやすい評価制度や報酬、会社が示すキャリアパスがしっかりしていないと、長続きしないかもしれません。逆にいうと、ロールモデルとなる人が次々と現れると、目指したい人が現れて制度が活性化する可能性はあります。
また職種によって専門職キャリアを創設しやすい職種と、そうでない職種があります。商品開発の例をご紹介しましたが、エンジニア、研究職なども専門職に向いています。
まだまだ定着しているとは言い難い専門職のキャリア制度ですが、専門職の芽は摘まないで伸ばしていくほうがいいと思います。時代の変化が激しい今、専門職が考えた、作った新しい芽が急成長して、大化けする可能性もあります。
分かりやすいこれまでの会社員のキャリアパスのままだと、人材育成の面でも無難な人材ばかりになってしまいます。出る杭を育てる職場を作って、面白い人材を育成しておいたほうが、時代の変化に対応した新しいビジネスチャンスが生まれるような気がします。
キャリアゴールがイメージしづらいと敬遠せず、専門職のロールモデルとなる人材を育成しましょう。