【40代のキャリアデザイン】転職で求められる『即戦力』とは

【40代のキャリアデザイン】転職で求められる『即戦力』とは

新卒で会社に就職する際、履歴書や職務経歴書に「即戦力として会社に貢献できるよう頑張ります」と書いた経験がある方もいると思います。

新卒や20代などポテンシャルでも採用される世代の転職活動であれば、やる気のある新人として評価してもらえるケースもありますが、すでにキャリアのある30代、40代の転職活動で「即戦力になれるよう」「即戦力として会社に貢献できるよう」と履歴書に書いたり、面接でアピールしたりするからには、何かしらの根拠が必要になります。

そもそも転職希望者の立場では、新しい会社の業務は完璧に理解できません。それなのに、即戦力になれるよう頑張ると言い切ること自体、リスクがあります。入社後のビジョンや業務イメージがしっかりあって、それが新しい会社の業務とぴったりマッチしているのなら内定に一歩近づきますが、そんな即戦力人材はめったにいるわけではありません。

即戦力を採用する難しさ

わたし自身、書類選考や転職面接で採用する際に「即戦力になり得る」と判断した人材はたくさんいます。

まず同業種、同職種からの転職であれば、即戦力になり得るとシンプルに判断していました。異業種、異職種からの転職よりも人材育成に時間がかからないし、仕事も1を言えば、10が分かってもらえるだろうから、スムーズな引継ぎができるだろうと考えていました。他にも、内定者のこれまでの実績や業界の人脈などから、自社で活躍する即戦力人材になり得ると判断したケースもあります。

しかし、その人材が本当に即戦力として活躍できるどうかは、短期で判断してはいけない、というかできないと考えるようになりました。短期で判断しない=即戦力人材はいるわけない、と判断しているのと同義です。なぜかというと、いくら即戦力人材であっても、仕事はチームで行うことのほうが圧倒的に多く、そのチームメンバーとうまくやっていけるかどうかのほうが大切だからです。

どんなに個人のスキルやキャリアが十分であったとしても、チームにうまく溶け込めなければ、能力がすぐに発揮できない状態になります。せっかく人材育成に手をかけなくてもいい即戦力を採用したはずなのに、新しい会社に溶け込んだり、上司や仲間との人間関係の構築に、思いのほか時間がかかってしまったりするケースは、本当によくあることなのです。

しかも、即戦力人材とそうでない人材を3年のスパンで考えてみると、即戦力人材はこれまでのキャリアで最初はアドバンテージがありますが、3年も経つとそのアドバンテージはなくなります。即戦力であるが故に、スタートダッシュ力はあるのですが、次第にリードを保てなくなって、3年後には他の人材と横並びになるケースはよくあります。

さらに即戦力を期待されているからなのか、前の会社のやり方を新しい会社に持ち込もうとして失敗する人がいます。そのほうが早く成果を出しやすいと考えるからかもしれませんが、かえって新しい上司や同僚から反発を招いてしまい、成果をあげられずに期待外れだったとレッテルを貼られてしまう人もいます。

なぜ即戦力人材を必要としているのかを見極める

それでも、即戦力人材を必要している企業は存在しますし、応募する転職希望者もいます。

なぜ企業が即戦力人材を必要としているのかを想像できれば、自分が即戦力として活躍できる根拠につながります。例えば、会社の業績が急拡大していて人手不足なのであれば、人材育成に手のかからない即戦力人材はニーズがあります。新しいビジネスを立ち上げる会社なら、0から1を生み出すことができる即戦力が必要になります。30代の即戦力と、40代の即戦力でも求められるスキルに違いがあります。

即戦力人材は今持っているスキルを今すぐ発揮して欲しいニーズが強いために、自分自身のキャリアアップにつながらないと考えるかもしれません。しかし人に何かを教えること自体が、これまでのキャリアの棚卸しにもなりますし、同僚や部下のキャリアアップ支援にもつながります。40代であれば尚のこと、そうした役割を期待されます。

また即戦力人材として、自分が今思い描いているキャリアデザインを、自分のチームなどで共有することで、チームメンバーも将来のキャリアが分かるようになります。社内にいると自分の市場価値が分からず不安になりますが、即戦力として不安の解消ができるかもしれません。

あるいはこれまで何度かキャリアチェンジしている場合は、そういった経験もチームで共有するといいでしょう。自分の将来のキャリアの可能性の幅を、感じられるようになると思います。

会社側から期待されているのと同時に、同僚や部下もあなたから何かを学び取ろうと思っているはずです。自社の仕事の進め方や常識が、他社から来たあなたにはどう映っているかも知りたいと思う人もいます。

前社のシステムで使い勝手が良かったところを話してみたり、仕事や会議の進め方で前の会社の効率のほうがよかったりした場合は、少しずつですが提案してみるのもありだと思います。40代であればプレイヤーとしての役割よりも、このような業務改善のほうがニーズはあるかもしれません。

自分の能力やスキルを惜しみなく伝えることで、感謝されるはずです。またそうした行動が信頼につながり、今後の自分自身の仕事のスピードが加速していくと思います。40代は特に新しい環境に身を置くだけで、キャリアアップは加速していきます。

企業側がなぜ即戦力を求めているのかを見極めてから、自分が会社に貢献できるかどうかを言うようにしましょう。

CanWillとは

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