キャリアチェンジで即戦力になるのは難しい?キャリアチェンジ転職のポイント
40代の転職において、アピールポイントの一つとなるのが『即戦力』です。特に、異業界や異業種へチャレンジするキャリアチェンジは、未知の分野に臨むことから、キャリアチェンジと即戦力が相反するものと認識している方は多いのではないでしょうか。
経験を積んできた40代だからこそ、「キャリアチェンジで即戦力になるのは難しいのか」「自分の実績やスキルが新しい環境で通用するのか」という点が、転職への第一歩を思い止まらせていることもあるかもしれません。
この記事では、即戦力という意味を明確にし、キャリアチェンジの際に壁となる即戦力をクリアするために必要なことや気を付けるべきポイントなどを解説します。
キャリアチェンジで即戦力になることは難しい?
キャリアチェンジと即戦力との関係性を理解することで、今後の進むべき方向性が見えてきます。まずは、『転職時の即戦力』とは何を意味するのか、から理解を深めていきましょう。
転職時の即戦力とは
転職において『即戦力』とは、新しい職場や業界において、すぐに業務に参加し業績やプロジェクトの一員として能力を発揮できる強みを持った人を指します。即戦力となる人材は、前職での知識やスキルをそのまま生かせる経験を持っているため、特別な研修や教育を必要とせずとも、短期間で業務に適応し、他の従業員や組織に貢献できるため、即戦力を採用する企業側にとっても迅速に新しい環境やポジションに慣れ活躍してもらいたいという想いが強いケースが多いです。
言い換えてみると、即戦力を求めている企業に対して、スキルや知識を持たずに見切り発車で臨んでも採用率は非常に低いことを意味します。つまり、今持っている自分のスキルや知識が有利に働く転職先を選ぶことで、即戦力の人材として認められる可能性が高まります。
キャリアチェンジと即戦力の壁
未経験の業界に足を踏み入れて、新たなキャリアをスタートさせるキャリアチェンジでは、即座に経験を生かして即戦力となることは容易ではありません。キャリアチェンジと即戦力との間には大きなギャップが存在するように感じますが、転職活動を始める前にしっかりと準備をしておくことで、ギャップを乗り越えることは十分可能です。
即戦力になるために過去の業務経験だけではなく、業務以外の時間を有効活用して資格やスキルを身につけていくことで、キャリアチェンジ成功への大きな強みになり得ます。
また、新しい環境で即戦力の人材になることが難しくても、これまでのキャリアで培ったスキルを生かせる機会はあるはずです。キャリアチェンジへの壁を感じる方でも、過去の経験から得たスキルを見直し、新たなキャリアで即戦力になるための布石を打つことができると期待できます。
キャリアチェンジ転職で即戦力になるために必要なこと
転職先の専門的な知識や技術を即座に身につけることは難しいことかもしれません。しかし、キャリアチェンジにおいて即戦力となるためには何が求められるのかを考え行動することは、即戦力になるための近道です。その方法と心得を具体的に解説します。
ポータブルスキル
キャリアチェンジというと、全くの未経験な業界・職種への転職で今までの経験で活かせるスキルがないのではないかと不安になる方も少なくありません。しかし、業界や業種が未経験でも関係なく活かせる能力があります。それが『ポータブルスキル』です。
厚生労働省はポータブルスキルを以下のように定義しています。
業種や職種が変わっても通用する、持ち出し可能な能力のこと。「専門知識・専門技術」の他、「仕事のし方」(課題を明らかにする・計画を立てる・実行する)、「人との関わり方」(社内対応(上司・経営層)、社外対応(顧客、パートナー)、部下マネジメント(評価や指導))で構成。 |
引用元:厚生労働省『ミドル層のキャリアチェンジにおける支援技法』
ポータブルスキルの代表例として、以下が挙げられます。
- コミュニケーション能力
- 情報収集力
- 企画提案力
- 課題分析力
- 決断力 など
いずれの能力も会社という組織で仕事に取り組むうえで必要不可欠です。目に見えて評価されやすい専門的なスキルだけではなく、このようなさまざまなビジネスシーンで臨機応変に対応できるポータブルスキルを磨くことは、未経験の業種や職種で戦力となるためにも重要視されます。
出典:厚生労働省『ミドル層のキャリアチェンジにおける支援技法』
アンラーニング(学習棄却)
キャリアチェンジでは今まで経験を積んだ業界・職種とは全くの畑違いの環境に身を置くことになる場合や、似た業界であっても働く環境が変われば今までのやり方が通用しなくなる可能性は低くありません。そのときに必要なのが『アンラーニング(学習棄却)』です。これは、これまで身につけた知識やスキル、仕事のやり方などを意図的に捨て、現状に適した新しいやり方をゼロから学びなおすことを意味します。
経験豊富な40代・50代の転職者にとっては、これまでの成功体験や知識があるがゆえに、それを捨てて新しいものを学びなおすことが難しいかもしれません。
しかし、新たな転職先では、社内・社外との人間関係や働き方、仕事の進め方において、これまでの経験ややり方に固執せず、柔軟で向上心のある姿勢がなければ、周囲のサポートを受けることは困難です。
アンラーニングの必要性は、たとえ現在の職場に残ったとしてもミドル層に重くのしかかってくる課題といえます。どの分野でも、時代の変化に応じた仕事のやり方に適応いていくことが求められます。柔軟性を持ってアンラーニングに積極的に臨むことこそ、自分自身の市場価値を継続して高めていくスキルともいえます。
キャリアチェンジ転職で気を付けるポイント
決意を固めたキャリアチェンジであっても、リサーチ不足により途中で諦めたり、後悔してしまったりする場合もあります。これらを未然に防ぐためにも、キャリアチェンジ転職で留意しておくべきポイントを押さえておく必要があります。
入社後のミスマッチが起こる可能性がある
未知の分野への挑戦となるキャリアチェンジは、転職活動時のイメージと入社後との現実にギャップが生じることは珍しくありません。このようなミスマッチを避けるためには、キャリアチェンジ前に以下の項目を実施することが重要です。
- 希望する業界を研究する
- 入社後のキャリアパスを理解する
- 入社後に求められるスキルや知識を把握する
- 希望する職業への適性があるか自己分析する
企業や業界について十分なリサーチを行わず、「有名企業だから」「憧れた業界だから」という曖昧なイメージで転職活動をしてしまうと、面接でも企業や仕事への理解に欠けた受け答えをしてしまって、採用へ至らない自体も起こり得ます。また就職した後も企業の実態とのギャップを感じて退職してしまうケースも少なくありません。
長期戦になる可能性がある
40代を対象にした『未経験者OK』の求人は件数自体が限られているため、見つけること自体が難しいです。また、転職活動では書類選考に通過することが最初のハードルですが、20代・30代の若い世代との競争も強いられるため書類選考での通過が難しいこともあります。こうした課題に対処するためには、転職先の条件を絞りすぎず、できるだけ選択肢を広げて応募することが肝要です。
重要なのは、根気よく転職活動に取り組むことです。結果が出るまでに期間がかかるかもしれませんが、諦めず焦らず進めることで理想の仕事に巡り合える可能性が高まります。最終的な目標を見失わず、長期戦を覚悟して臨むことが大切です。
一時的に年収が下がる可能性がある
キャリアチェンジ転職において、一時的に年収が下がる可能性があることは、想定しておくべきポイントです。未経験の業界や職種への転職では、現職よりも初期段階での年収が低くなることが一般的です。新しいスキルや経験を積むためには最初は適応期間が必要であり、その間収入が下がることが予想されます。しかし、入社後の活躍や経験の蓄積次第では昇給のチャンスを得ることも可能です。新しい職場での実績やスキルが積み重なれば、昇給や昇進の機会が増え、徐々に年収アップできると期待できます。
年収ダウンは生活面に直結する課題のため、一時的な年収の下落を予測し、それを許容できる範囲をあらかじめ考えておくことが大切です。ライフスタイルや生活費、将来の計画などを考慮し、リスクを最小限に抑えつつ、新しいキャリアに挑戦する準備を整えましょう。明確な目標と現実的な計画があれば、一時的な年収の下落も将来的な成長につながる一環と捉えられ精神的な克服にもつながります。
キャリアチェンジに悩んだら
これまで積み上げてきた経験を一旦リセットし、キャリアチェンジに挑戦することは、誰しもにとって大きな決断ですが、特に40代のミドル世代にとっては年収ダウンや長期戦で臨む強い意志が求められます。未知の分野へのチャレンジは分からないことが多く、転職に関する一切を1人で抱え込むには時間と労力が必要です。ときには苦しい思いをすることもあるでしょう。
キャリアチェンジへのシナリオを1人で描くことに負担を感じる場合には、転職に関する専門家に頼ることがおすすめです。転職に精通したプロの意見やアドバイスを聞くことで、業界や市場の情報収集や最適な企業との出会いにつながる可能性が広がります。
理想とするキャリア探しのお手伝いをする相談サービス『CanWill』は、よりスムーズな転職活動への実現はもちろん、転職に伴う悩みや負担、不安を取り除けるよう、キャリアコンサルタントが親身になってサポートしています。キャリアチェンジをお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。