管理職になりたくないのになってしまった人のキャリア

管理職になりたくないのになってしまった人のキャリア

マンパワーグループ(株)が実施した、役職についていない正社員20代~50代男女400名への調査によると、「今後、管理職になりたいか?」の質問に対し、83%が「なりたくない」と回答しました。

管理職になりなくない理由の上位は「責任の重い仕事をしたくない」、「報酬面でのメリットが少ない(残業や休日出勤の手当てなど」、「業務負荷が高い」でした。

わたし自身も管理職には絶対になりたくないと思っていましたし、できることならずっと現場で仕事をしていたいと上司との面談でも伝えていました。しかしある理由から、管理職を引き受けることになったのです。

管理職が次々と退職してしまった

わたしが初めて管理職になったのは、33歳のときです。会社に在籍して6年が経過し、マネージャーのひとつ下のシニア職として仕事をしていました。当時わたしの上には3人のマネージャーがいて、新体制になって1年が経とうしていました。

あろうことか3人のマネージャーのうち、2人の転職が決まったのです。しかも残りの1人も他部署へ異動になるという、まさに青天の霹靂でした。管理職が3人ともいなくなると、順番からして次のマネージャーはわたしです。こんなことが現実に起こり得るのかと、正直思いました。

この緊急事態に組織の再編が行われ、旧体制に戻せば業務が回ると会社が判断し、わたしはマネージャーに昇進することになったのです。

管理職は絶対にやりたくないと思っていたわたしでしたが、周りを見ても他にマネージャーができる人材は見当たりません。しかも特殊な職種なので、外部から新しく管理職を採用しようにも時間がかかりますし、会社の業務に慣れるまで時間もかかります。こうしてやむを得ず管理職を引き受けないといけない状況になり、わたしはマネージャーになりました。

管理職になりたくないのになってしまったその後

冒頭の調査結果にもあるように、管理職の仕事は業務負荷が高いうえに、責任が重く大変な仕事でした。

管理職になりたくないのに引き受けてしまったわけですが、自分のキャリアうんぬんよりも、緊急事態に陥った会社を何とかしないといけないという思いのほうが強く、まずは組織を立て直して、業務に穴を開けないところを目標にしました。

管理職になりたくないと腐ったまま仕事をしていたわけではなく、どちらかというと管理職としての役割を全うしなければならないと思っていました。必死に仕事をしていた中で気づいたのは、人から必要とされる喜びや人の期待に応える喜びでした。

通常の管理職に求められるゴールよりもはるかに低いゴールだったかもしれませんが、管理職を経験したおかげでわたしの仕事への意識が大きく変わりました。

まず管理職になったことで、今まで見えていなかった経営陣の考えに触れる機会が増え、トップとの話し合いの場も増えていきました。これまで抱えていた仕事の数倍広い視野を持てるようになり、自分のキャリアにとって大きくプラスに働いたのです。

その後この会社を辞めて転職することになるのですが、35歳を過ぎていたにも関わらず2社から内定をもらえたのも、この時に管理職を経験していたからだと思います。管理職の経験は、その後の転職の成功にもつながっていきましたし、もし管理職を経験していなかったら、年齢的にも転職は苦戦していたと思います。

業種や職種が違っても、管理職を経験して得たマネジメントスキルやチームビルディングのスキルはどの会社でも応用できる強みがあります。さらに成功体験があるとしたら、あなたの人柄もチームから評価された結果だと思うので、転職活動中に強みを発揮します。

実は40代管理職の成り手が不足している

40代になると30代ほど転職先が見つからず、苦戦し長期化すると一般的には言われています。しかし管理職の成り手がいない会社にとって、40代管理職は喉から手が出るほど欲しい人材です。

社員の年齢構成がいびつになっている会社が多くあり、特に40代社員が不足している会社が多く存在します。社会的背景として、今の40代が新卒で就職した際には就職氷河期を経験し、その後はリーマン・ショックなど景気後退局面が続いたために、企業が採用の抑制を長期で行っていたので、40代が不足しています。

景気がよく大量採用の時代の恩恵を受けてきた50代後半や、リーマン・ショック後の景気が上向いてきてから入社した30代と比べると、どうしても40代の社員数の割合が低く出てしまうのです。

そもそも40代社員の数が少ないうえに、輪をかけて管理職になりたいと思わない人が増えている現状があるため、40代管理職の成り手が少なく不足しているようです。

40代からの転職を成功させたいと考えている人にとって、この40代管理職の状況は転職における穴場とも考えられ、転職先の選択肢を増やすための戦略にもなり得ます。そもそも自社で職歴を積んでいる40代社員が不足しているわけですから、外部から管理職経験者を採用するのは必然の流れかもしれません。

管理職になりたくない人が増える中、40代社員が少ない会社を狙って逆張りの転職活動を行うことで、年齢の壁を越えた転職活動ができますし、他の候補者との差別化を図れるようになります。

親の心子知らずと言いますが、上司の心部下知らずです。管理職になってみて初めて、会社における自分の仕事の役割の大切さに気づけたように思います。もし管理職になれるチャンスがやってきたら、1度はやっておいて損はないと思います。食わず嫌いにならずに、チャレンジしてみてください。

CanWillとは

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