40代のキャリアアップ! 即戦力としての価値を活かすには
スキルを活かし、キャリアアップ転職を狙う40代のミドル世代は少なくありません。
20~30代の転職とは異なり、40代のキャリアアップ転職ではミドル世代独自の戦略とアプローチが求められます。若者世代とは異なる視点で転職市場を考え、即戦力として企業に自分の価値を証明できることが重要です。
そこで、本記事では40代転職者に向けて、スキルや経験を最大限に活かして即戦力としての価値を高める方法について解説します。併せて、企業側の視点から40代転職者に求めることや注意点などもご紹介します。
40代キャリアアップ転職の現状
一般的に、20~30代と比べて40代以降の転職は難しいとされています。厚生労働省が発表している統計情報を基に、具体的な数字に照らし合わせて40代キャリアアップ転職の現状を考察してみましょう。
▼年齢別労働市場関係指標(パートタイムを含む)
▽新規求人倍率(就職機会積み上げ方式)
年齢計 | 30~34歳 | 35~39歳 | 40~44歳 | 45~49歳 | 50~54歳 | 55~59歳 | 60~64歳 | 65歳以上 | |
平成27年計 | 1.63 | 1.78 | 1.71 | 1.58 | 1.48 | 1.48 | 1.51 | 1.44 | 1.54 |
平成28年計 | 1.83 | 2.01 | 1.94 | 1.80 | 1.68 | 1.66 | 1.70 | 1.60 | 1.72 |
平成29年計 | 2.02 | 2.23 | 2.15 | 2.00 | 1.86 | 1.84 | 1.87 | 1.72 | 1.84 |
平成30年計 | 2.17 | 2.42 | 2.34 | 2.18 | 2.01 | 1.99 | 2.02 | 1.81 | 1.91 |
令和元年計 | 2.21 | 2.47 | 2.41 | 2.25 | 2.08 | 2.05 | 2.07 | 1.82 | 1.92 |
厚生労働省 『一般職業紹介状況(職業安定業務統計)「年齢別労働市場関係指標」』を基に作成
▽有効求人倍率(就職機会積み上げ方式)
年齢計 | 30~34歳 | 35~39歳 | 40~44歳 | 45~49歳 | 50~54歳 | 55~59歳 | 60~64歳 | 65歳以上 | |
平成27年計 | 1.08 | 1.19 | 1.14 | 1.05 | 0.98 | 0.98 | 1.00 | 0.94 | 0.98 |
平成28年計 | 1.22 | 1.36 | 1.30 | 1.19 | 1.11 | 1.1 | 1.13 | 1.05 | 1.10 |
平成29年計 | 1.35 | 1.51 | 1.45 | 1.34 | 1.24 | 1.23 | 1.25 | 1.14 | 1.18 |
平成30年計 | 1.45 | 1.64 | 1.58 | 1.46 | 1.35 | 1.33 | 1.35 | 1.20 | 1.22 |
令和元年計 | 1.45 | 1.65 | 1.59 | 1.48 | 1.37 | 1.35 | 1.36 | 1.18 | 1.20 |
厚生労働省 『一般職業紹介状況(職業安定業務統計)「年齢別労働市場関係指標」』を基に作成
令和元年計のデータを見てみると、59歳以下の年代では新規求人倍率が2.0を上回っており「売り手市場」といえます。しかし、35歳を過ぎると少しずつ数値が減少しているのが分かります。これは企業が管理職育成などのために若年層を募集するケースが多いことが要因と考えられます。
この資料では、ハローワーク以外での求人情報は反映されていないため、詳細な求人動向は読み取れません。では、企業はどのような手段で人材を獲得しているのでしょうか。
40代転職者は、即戦力として専門的なスキルや知識、マネジメント経験などが求められることが多々あります。企業は優秀な人材を採用するために、公開求人ではなく転職エージェントや知人からの紹介、ヘッドハントなどを活用する傾向があります。そのような要因から40代の転職者は転職エージェントの活用をすることでより有益な求人情報を得られ、より良い転職先と出会うための機会につながると考えられます。
出典:厚生労働省 『一般職業紹介状況(職業安定業務統計)「年齢別労働市場関係指標」』
企業が40代転職者に期待すること
長年キャリアを築いてきた40代は、20代の転職者と比べこれまでの経験やスキルが重視され、より多くのスキルが求められるようになります。
また、組織への貢献度も企業が重要視する点として挙げられます。転職活動においては、企業が転職者に対して『期待する要素』をアピールすることができれば、より有利に働くと考えられます。企業から求められる要素には、次の3つが挙げられます。
1. 専門性
1つ目は専門性です。40代の転職では“専門性”は非常に重視される点であると同時に重要なアピールポイントです。専門職に就いて特定の専門分野に関する高い知識とスキルを身につけてきた人は、自分の市場価値や採用側のニーズを分析し、自分の専門性とマッチする要素を前面に売り出すことが可能です。
また、専門職でなくても、新規事業の立ち上げを行ったなどの実績は経験自体が“専門性”を持ち、自身の強みとしてアピールすることもできます。自分の持つ専門性や経験を振り返り何が強みであるかを見極めることが大切です。
2. マネジメント力
2つ目はマネジメント力です。40代の転職者の求人では『管理職』が多く見られます。リーダーシップが求められるポジションにおいて、企業は優れたマネジメント力を期待しています。
また、“若い世代が多いチームを引っ張るリーダー”“経験豊富な専門集団を取りまとめるマネージャー”など、ひとえにマネジメント力といっても企業が求める能力さまざまです。自身が今まで経験したことを振り返り、企業が求める”マネジメントスタイル”との共通点を見つけることが大切です。
3. 企画・提案能力
3つ目は企画・提案能力です。新たな価値のある企画を作り上げ、相手にその必要性や良さを伝えることのできる能力は非常に重要視されるポイントです。特に、業務プロセスの効率化や新規プロジェクトの立ち上げ、競争力の向上などにはこのスキルが欠かせません。
企業の抱える問題解決や目標の達成のために新たな視点から価値を見出すなどの企画力、それらのメリットや魅力などを的確に伝え実現することのできる提案力などは非常に大きなアピールポイントとなります。
40代でスキルを活かし転職するためのポイント
40代の転職を成功させるには、20~30代と同じような準備をするだけでは不十分です。20年近く積み上げてきたキャリアを活かして転職をしていくうえで、以下のような有利に働くポイントを押さえることが重要です。
1. 自分の強みの活かし方を考える
40代転職者にとって強力な武器となるのが、長年にわたる豊富なキャリアです。
しかし、職務経歴が充実していく分、“強みは何か”という部分が分かりづらくなります。ほかの同業界・同業種の40代の人材に埋もれないために、自分が培ってきたスキルや経験、業界特有の専門性などをどのように活かすかを具体的にイメージすることが重要です。
2. 客観的な即戦力分析を行う
自分のスキルや経験を客観的に評価し、どの要素が即戦力としてアピールできるのかを明確にします。これには、業界や企業で求められる即戦力のスキルや市場の需要を綿密に研究・分析することが不可欠です。自分のスキルや経験が求められている人物像と一致する場合、それを武器にしアピールポイントとして活用します。
40代転職で期待される「即戦力」とは
企業にとっての即戦力とは、単なる人員確保ではありません。20代の若手を積極的に採用する企業は、人材育成に力を入れ未経験から成長させていきます。
これに対して、企業が40代の転職者へ期待するのは“即戦力”です。企業が即戦力の人材を求める理由には、育成にかかる教育コストの削減やマーケット競争の強化、プロジェクトの新規立ち上げや人材不足などが挙げられます。
なぜ企業が即戦力の人材を求めるのかを考察することで、40代の転職で期待される即戦力が見えてくるはずです。
ここからは、企業に共通して求められる人物像について、詳しくみてみましょう。
1.スキル・知識・経験を活用する
自分のキャリアに明確な目標を持って転職活動に臨む40代転職者は、幅広い業務経験と専門知識が期待されています。
しかし、企業方針や転職先での仕事内容をしっかりと研究していなければ、企業が求める即戦力として受け入れられません。そのためには、企業分析が非常に重要です。自分のスキル・知識・経験にマッチした転職先であれば、自分のキャリアを武器に実力を発揮でき、即戦力の人材として転職活動を有利に進められます。
自身を客観的に評価し、どの分野で優れた実力を持っているかを明確化します。履歴書や面接で、過去の実績や成果を具体的にアピールすることが重要です。転職先で自分の強みを最大限に発揮できることを証明することがポイントです。
2.学習とスキルアップをする意思
即戦力として期待されているとはいえ、前の職場でのやり方をそのまま新しい職場に持ち込めるケースは稀です。職場ごとに企業文化が違うため、前職でのやり方を持ち込むことで、失敗してしまう可能性もあります。
状況に応じて、過去のやり方を捨てて、学習意欲を持ってスキルや知識の磨き直し、新たな学びに励むなど、自己スキルの向上に積極的に取り組む姿勢が重要です。
新しい技術やトレンドを敏感に追い業界の変化に対応する姿勢を示すことで、40代転職者としての価値を高めることができます。
3.柔軟性・適応力
豊富なキャリアを持つ40代転職者は即戦力として大いに期待されるものの、転職先ではさまざまな“新構築”が必要です。新しい職場やクライアントとの人間関係の構築にも新たなアプローチが求められます。それには、柔軟性と適応力を発揮しなければなりません。
転職先の職場環境は、前職での企業文化とは異なります。前職での経験やスキルに固執せず多角的な視点を持って、周りからのアドバイスやフィードバックを受け入れる姿勢が必要です。積極的に周囲とコミュニケーションをとり、サポートを受けながら新しい環境に適応していくことで、職場に馴染み人間関係を円滑に構築できます。
即戦力で活躍できる職場を見つけるために
40代の転職においては、以下のポイントを理解して取り組むことがキャリアアップ実現への一歩といえます。
- 柔軟に転職先を探す
- 自己分析と企業研究
- 転職エージェントの利用
応募要件に合う求人が少ない場合には、年収や職種、業界を狭めずに柔軟に転職先を探すことが大事です。また、入念に企業研究を行い、自分の価値観に合致する企業を見つけ出す作業も欠かせません。自分の即戦力としての市場価値を示すためには、客観的な自己分析を行いスキルや実績を具体的に提示することが必須です。
さらに、すぐに転職先が見つかるとは限らないため、長期的な視点で臨むことも重要です。なお、時間的な余裕がない場合は転職エージェントを利用することも一つの方法です。市場動向を熟知した転職エージェントは、有益な求人情報を提供してくれる専門家です。
40代の転職活動を成功させるために、プロのサポートを受けることも考慮しつつ、まずは自身の強みや価値を明確にすることから始めてみてはいかがでしょうか。