40代・50代で仕事を辞めたいと思ったら? 対処法や転職のポイントを解説
40代・50代の方で、人生で1度は「会社を辞めたい」「会社へ行きたくない」と思った経験がある方は多いと思います。
とはいえ40代・50代にもなると、会社でのポジションが確立され、重要な職務を任されていることもあり、簡単に会社を辞められない現実があります。また、40代以降特有の転職市場の厳しさを考え、転職を思いとどまる方もいるでしょう。
実際に転職にチャレンジするにしても、転職先の職種や転職活動中の生活のことなど、考えなければならないことは山のようにあります。後悔しないためには、会社に留まるにしても、会社を辞めるにしても、自分なりに熟考したうえで答えを導き出すことが大切です。
この記事では、40代・50代の離職率や仕事を辞めたくなる理由、仕事を辞めたくなったときの対処法、仕事を辞めたあとの選択肢などを解説します。
40代・50代の離職率
40代・50代の離職率は、ほかの年代の離職率と比べるとどうなっているのでしょうか。厚生労働省『-令和3年雇用動向調査結果の概況-』によると、40代・50代の性別ごとの離職率は以下のとおりです。
年代 | 男性 | 女性 |
40~44歳 | 7.4% | 10.7% |
45~49歳 | 6.4% | 11.1% |
50~54歳 | 5.6% | 10.2% |
55~59歳 | 7.9% | 9.1% |
全年代の平均 | 12.8% | 15.3% |
40代・50代の平均 | 6.8% | 10.3% |
厚生労働省『-令和3年雇用動向調査結果の概況-』を基に作成
40代・50代の離職率は、男性・女性ともに全年代の離職率と比較すると低いです。これには、冒頭で触れたような「会社でのポジションが確立されている」「重要な任務を任されている」という背景が一部影響していると考えられます。
それでも、男性であれば15人に1人程度、女性であれば10人に1人程度は離職していることから、40代・50代になっても「自分により合った働き方を見つけたい」「新しい仕事に挑戦してみたい」などのチャレンジを考えている方もいるかと思います。
40代・50代が仕事を辞めたいと思う理由
40代・50代の方に限らず、仕事を辞めたいと思う背景には、単一ではなく複数の理由があることもあります。前述の『-令和3年雇用動向調査結果の概況-』によれば、40代・50代が離職を決めた主な理由として、以下が挙げられています。
▼40代・50代男性の離職理由
- 職場の人間関係が好ましくなかった
- 能力・個性・資格を生かせなかった
- 会社の将来が不安だった
- 労働時間・休日等の労働条件が悪かった など
▼40代・50代女性の離職理由
- 職場の人間関係が好ましくなかった
- 給料等収入が少なかった
- 労働時間・休日等の労働条件が悪かった
- 能力・個性・資格を生かせなかった など
出典:厚生労働省『-令和3年雇用動向調査結果の概況-』
40代・50代の男性・女性ともに共通する離職の理由として、職場の人間関係や自身の能力・資格などが挙げられています。そのほか、労働条件の悪さや収入への不満を離職理由とする40代・50代も少なくありません。
仕事を辞めたいと思ったときの対処法
仕事を辞めたあとのことを十分に考えずに離職すると、理想の転職先がなかなか見つからなかったり、転職できたとしても年収が下がったりして、別の問題が生まれる可能性もあります。そのため、40代・50代で「仕事を辞めたい」と思ったとき、突発的に離職を判断するのは賢明ではありません。離職を考える前に、以下の対処法を試してみてはいかがでしょうか。
①40代・50代のどこかにゴールテープを設定する
例えばあなたは、会社を辞めたいと思いながら走っている40歳のマラソンランナーです。
どんなにつらい会社員生活であっても“ゴールテープ”が見えたら、もう少し頑張れるかもしれません。ヘロヘロな状態になりながらも、ゴールテープが見えている状態で走るのと、見えない状態とではモチベーションが全く違います。
「自分は45歳まではこの会社で頑張ると決めた」「このプロジェクトがカットオーバーするまでは、会社を辞めない」「自分の部下が成長するまでは、会社を辞めない」など、65歳の定年退職にゴールテープを設定するのではなく、手前の40代に設定して、そこまでの期間は会社を辞めないと決めます。
そのゴールテープを切ったあとで、「もうちょっとこの会社で頑張れる?それとも会社を辞める?」と再び自分自身に問いかけてください。そこでもうちょっと頑張れそうなら、さらに数年後にゴールテープを設定してみましょう。
②仕事を辞めたい気持ちが本当かを確認するために転職活動をする
「40代・50代で会社を辞めたい」と思うことと、実際に転職活動をするのとでは意味合いが違います。
転職活動をしてみて、初めて分かることがたくさんあります。例えば、履歴書や職務経歴書を書きながら、自分のキャリアを棚卸ししてみたり、ほかの会社を見たり、転職エージェントに会ったりすると、会社を辞めたい気持ちに変化が生まれる場合があります。もしくは、意外と転職活動するほどの強いモチベーションはなく、愚痴で会社を辞めたいと思っている場合もあるかもしれません。
また、40代・50代の転職活動中に自分の市場価値の低さに気づき、心が折れることもあります。それでも会社を辞めたいのか、今の会社に残るのかは、実際に転職活動をしてみないと分からない部分もあります。
会社を辞めたい決意がどれほどのものかを確認するために、転職活動してみるという手もあります。
③仕事を辞めたい気持ちを1度スルーしてみる
仮にあなたが会社を辞めたい気持ちが爆発しそうな状態にあるとして、その気持ちの高ぶりは、どのくらいの期間継続していますか。2日目でしょうか、1ヶ月でしょうか。
まずは、会社を辞めたい気持ちを1度スルーしてみましょう。休み明けだから、会社に行きたくないだけかもしれません。たまたま仕事がうまくいかなかったら、会社を辞めたいと思っているのかもしれません。
1度辞めたい気持ちをスルーしたあとで、再び会社を辞めたいと思うまでの期間はどれくらいでしたか。1日経たずに会社を辞めたいと思った方もいれば、すっかり辞めたい熱が冷めてしまった方もいるのではないでしょうか。
転職活動には、『冷静さ』が必要です。会社を辞めたい思いが強すぎると、よい転職活動ができません。会社を辞めることが最優先になり、よい判断ができなくなります。40歳以降の自分の人生に大きく影響する転職です、気持ちの高ぶりを抑え、冷静にならなければなりません。
仕事を辞める前に考えておきたいこと
仕事を辞める前には、仕事を辞めるメリットやデメリット、仕事を辞めたあとの生活など、事前に考えておいたほうがよいことがあります。
仕事を辞めることのメリット・デメリット
仕事を辞めることの主なメリットとしては、以下が考えられます。
- 人間関係の悩みが解消される
- 趣味や好きなことに時間を使える
- 転職や起業などやりたいことに挑戦できる など
一方、仕事を辞めることの主なデメリットとしては、以下が考えられます。
- 収入がなくなる
- 福利厚生がなくなる
- 社会的な信用が低下する可能性がある など
仕事を辞めることにはメリットとデメリットの双方がありますが、どちらをより重く感じるかは個人で異なります。上述したのはあくまでも一例です。自分にとってのメリット・デメリットを把握したうえで、仕事を辞めるべきかどうかを判断することが重要です。
仕事を辞めたあとの生活
仕事を辞めることで、もしかすると今抱えている悩みからは解放されるかもしれませんが、新たに別の悩みが生まれてくる可能性があります。
今の仕事を辞めたあと、リタイアするのか、その他の選択肢を選ぶのかなど、どの選択を取るのかは、頭を悩ませる問題の一つです。
離職したあとそのままリタイアする場合は、このまま仕事をしなくても生活していけるだけの見込みや蓄えがあるのか、といった点を考える必要があります。
また、その他の選択肢を選ぶ場合は、転職するのか、起業するのか、もしくはアルバイト・派遣などで勤務形態を変えて働き続けるのかなどさまざまな点を考慮します。転職を視野に入れている場合は、転職することで条件の改善が見込めるのか、そもそも転職先が見つかるのか、などが焦点になってくると思います。転職をする年齢やこれまでの仕事内容、現在の金融資産などによって、これらの問題の重要度は大きく変わります。
家族や友人への相談・報告
仕事を辞めるにあたっては、家族への相談・報告も必要です。特に、家族がいる場合は収入面の不安が大きくなりやすいため、必ず事前の相談が必要と考えられます。また、離職後のプランも話し合うことが望ましいといえます。
境遇の似た友人や仕事を辞めた知人がいれば、相談して経験談を聞いてみるのもおすすめです。自身になかった視点からの意見によって、考え方に変化が生まれるかもしれません。
仕事を辞めたあとの選択肢
仕事を辞めたあとにリタイアしない場合の選択肢には、転職や起業、一時休息などが挙げられます。ここでは、これら選択肢のうち転職と起業の主なメリット・デメリットを紹介します。
項目 | メリット | デメリット |
転職 | これまでの経験を活かしやすい
最初からある程度裁量のある仕事を任されやすい |
ゼロからのスタートになる可能性がある
応募できる求人が限定される |
起業 | 経験や人脈を生かしやすい
実績があれば資金調達をしやすい |
再就職の選択肢が限られるため、失敗したときのリスクが大きくなりやすい
すべて自身で管理しなければならない |
メリットとデメリットの程度は、これまでの経験や離職に踏み切る年齢によって変わってきます。先ほども少し触れましたが、家族や知人など、周囲の方に十分相談したうえで結論を出しましょう。
40代・50代が転職をする際のポイント
仕事を辞めて転職すると決めたら、実際に行動に移すことが大切です。ここからは、理想の転職先を見つけるためのポイントを3つ紹介します。
①業種や職種を限定しない
40代・50代の転職は、若い世代に比べて選択肢が限られる場合があります。仕事を探すとなれば、これまでの経験やスキルを生かしやすそうな求人を中心に検討したくなるのは当然のことです。
しかし、はじめから業種や職種を限定しすぎず、柔軟な視点で転職活動を行うことを心がけましょう。
②自身の強みを明確にする
仕事を辞めたあとに転職を考えている場合は、自己分析で自分の強みや弱みを明確にすることが大切です。『Will(したいこと)』『Can(できること)』『Must(すべきこと)』を整理すると、キャリアデザインを行いやすくなります。
▼Will・Can・Mustの意味
- Will:自分がやりたいこと、自分の志向
- Can:自分にできること、能力やスキル
- Must:自分が行うべきこと、求められている役割
これらを適切に認識することで、キャリアデザインを描きやすくなります。キャリアデザインに必要なWill・Can・Mustの詳細はこちらで解説しています。併せてご確認ください。
キャリアデザインとは? 設計に必要な要素やメリット、注意点を解説!
③専門家に相談する
仕事を辞めたあとのことが不安な方や、キャリア設計に悩んでいる方は、専門家にキャリア相談するのも一つの方法です。自身のキャリアを深掘りしたり、客観的な自己分析を行ったりするのに役立つだけでなく、プロの視点でアドバイスをもらうこともできます。
適切な判断を行うためには、家族や知人に対する相談から得られるあなたのことをよく知っている方からのアドバイスと、専門家への相談から得られるプロの客観的なアドバイスの両方に耳を傾けることが重要です。
40代・50代のキャリア相談はCanWillへ
40代・50代で会社を辞めたいとお悩みの方は、今回ご紹介した対処法を試してみてください。
また、仕事を辞めるべきか否か、仕事を辞めた場合のキャリア設計などにお悩みの場合は、プロに相談してみるのもおすすめです。
『CanWill』は、転職を迷っている際に利用できるキャリア相談サービスです。「転職すべきか悩んでいてなかなか方向性が見つからない」という方に、経験豊富なアドバイザーが相談に乗り、親身になってサポートします。客観的な意見が欲しい方、背中を押してほしい方は、ぜひお気軽にご相談ください。