40代で介護が始まったとき介護離職すべきか?転職すべきか?

40代で介護が始まったとき介護離職すべきか?転職すべきか?

40代で急に介護が始まり、今の会社では介護と仕事の両立が難しいと感じたとき、勤めている会社を辞めるか、他の会社に転職するかなど人生の選択を迫られます。わたし自身も、40代でその選択を迫られた人のひとりです。どのように考えたらいいのでしょうか?

介護転職は最悪の選択

明治安田生活福祉研究所が調査した『仕事と介護の両立と介護離職に関する調査結果』によると、介護を理由に転職した人の平均年収は、男性で4割、女性で5割もダウンしています。

介護転職で年収がここまで下がる大きな理由は、正社員からパートやアルバイトへと働き方をシフトしてしまうからです。特に女性はその割合が大きくなるので、年収が5割もダウンしてしまいます。

ただ、中小企業に対しても「同一労働同一賃金」がスタートしているので、パートだから時給が安くて当然という考え方は通用しなくなるため、介護転職してもここまで年収のダウンはなくなるかもしれません。

しかし、転職したばかりの会社では信頼残高がないため、同僚や上司と新たに関係を構築しなければなりません。今居る会社では介護と仕事の両立が難しいと考えて転職したものの、かえって状況が悪化したというケースもあり得るのです。

さらに40代という年齢の壁で、別な会社へ転職しようにもなかなか仕事が見つかりません。現職も捨て、無職になってしまうと介護は経済的にも苦労します。40代で介護が始まったからといって、転職を選択するのは得策ではありません。

介護転職の前に地域包括支援センターに相談する

40代で介護転職を決意する前に、まずは地域包括支援センターへ行って、相談するところから始めましょう。

デイサービスやヘルパーなど、介護保険サービスを使って在宅介護を考える、介護施設を利用してみるなど、介護のプロに頼ることで、今居る会社でも介護と仕事の両立が実現できるかもしれません。あるいは会社の福利厚生サービスによくある、無料の介護相談窓口を活用してみましょう。

介護と仕事の両立は介護休業制度が利用できるため、どの会社でも誰でも介護休業や介護休暇は取れます。しかしいくら制度があっても、その制度を活用しづらい会社はたくさんあります。上司や同僚、会社のトップの理解がなければ、介護で会社を休みづらいですし、早退も厳しいものになります。

40代で介護転職しか選択肢がない場合はどうする?

こうした理由から、できれば在籍している会社で介護休業制度を利用しつつ、介護保険サービスを使って介護の態勢を作るのがベストです。介護休業制度が利用しづらい職場環境であっても、転職を決意する前に上司や人事と話し合うべきです。

それでも40代で介護転職を検討する場合、いつもどおりの転職活動ではいけません。自分のキャリアやスキルに合致した会社選びは大切ですが、それよりも介護と仕事の両立がしやすい会社かどうかを見極める必要があります。

例えば、会社のトップが介護離職ゼロの方針を打ち出していたり、介護休業制度以上の手厚い手当や休暇制度があったりする会社だったら、介護と仕事の両立がしやすい可能性はあります。それでも制度が充実しているのと、その制度を運用するのは別問題です。転職先が介護と仕事の両立についてサポートが手厚い場合は、その制度の「利用率」を確認してから転職しましょう。

40代で介護が始まって転職を決意しなければならないほど、深刻な事態になっているかもしれません。それでも70歳定年制など長期のキャリアを考えたとき、40代で一旦セカンドキャリアについて考えられるのは実は幸せなことです。介護は、自分のキャリアを見直すチャンスでもあります。

40代で介護業界へ転職するのはありか?

親の介護が始まって転職する際に、介護業界へ自らも転職しようと考える人がいます。親の介護をしながら資格や介護技術を身に付けるために、訪問介護のヘルパーや介護福祉士などの勉強をするのです。

40代で転職する場合、人材不足である介護業界への転職は他業種と比べると内定がもらいやすいですし、介護未経験であっても転職できる可能性はあります。50代、60代になっても介護の資格をいかして働いている方も多いので、まだまだ若い世代として採用されます。

もし小さい頃から介護に興味があったり、自分が望むセカンドキャリアの道とマッチしていたりするのであればいいのですが、親の介護と一石二鳥になるという理由だけで介護業界への転職はオススメしません。

なぜなら、仕事もプライベートもずっと介護になってしまい、息抜きができずに自分の介護にまで影響してしまうからです。一般的に介護と仕事の両立は大変と言われますが、仕事で職場へ行って同僚と話すことは息抜きになります。

なかなか親の介護のイメージが湧かないかもしれませんが、自分の親を介護するといっても実際は介護保険制度を利用しながら、ヘルパーやデイサービス、ショートステイなどを活用し、プロの力を借りて介護をします。

自ら身体的な介助をするよりも、ケアマネジャーと相談しながら介護のプロの力をいかにうまく活用するか、いわゆるマネジメント的な役割のほうが多くなります。

もし収入面に期待して転職をすると、それほど昇給が望めない仕事に不満を感じ、他業界へすぐ転職してしまうかもしれません。また介護へのモチベーションが高くないと、仕事は長続きしません。

介護業界への転職を考える前に、まずは親の家の近くの地域包括支援センターへ行って、介護の相談をするところから始めましょう。

CanWillとは

『Can Will』では、第一線のキャリアコンサルタントが、ミドル・シニア世代のあなたの強みや志向を掘り下げて、納得感の高いキャリア相談を行っています。 「転職すべきか、今の会社で働き続けるべきか?」、「自分の強みが分からない」、「職務経歴書の書き方が分からない」、「自分の市場価値について客観的な評価ほしい」。 このようなキャリアに対するお悩みやモヤモヤがありましたら、ぜひ一度『Can Will』のキャリアプロフェッショナルにご相談ください。