50代からの転職がすぐ決まる人と決まらない人の特徴とは
一般的に、50代からの転職は厳しいといわれています。しかし、総務省が令和5年に発表した『労働力調査』のデータによると50代の転職者は増加傾向にあります。
▼転職者数の推移
項目 | 2013年 | 2023年 |
総数 | 287万人 | 328万人 |
45~54歳 | 40万人 | 57万人 |
55~64歳 | 41万人 | 50万人 |
2013年と2023年を比較すると、45~54歳は17万人、55~64歳は9万人増えています。2023年の全年齢の転職者数のうち、50代が含まれる45~54歳および55~64歳の転職者数の合計が3割を占めていることから、50代の転職は珍しいことではないといえるでしょう。
その一方で、転職で賃金が減少した人も多いため、理想的な待遇や内容の仕事に転職することが難しい面もあります。理想の待遇や希望のキャリアを実現するには、コツを押さえて戦略的に転職活動を行うことが重要です。
この記事では、50代からでも転職がスムーズに進む人と難航する人の特徴を挙げ、特に50代からの転職活動で役立つ準備や対策について解説します。スムーズな転職に向けて、必要な心構えや行動について見ていきましょう。
出典:総務省『労働力調査(詳細集計)2023年(令和5年)平均結果の概要』
50代からの転職がすぐ決まる人の特徴
50代の転職で大きな武器になるのは「これまでの経験やスキルを活かせる」という点です。
しかし、それだけでは同じような武器を持つ同世代のライバルと闘うことが厳しいのが現実です。そこで、すぐに転職が決まる人たちを見てみると、以下の共通する3つの特徴があります。
- 考え方に柔軟性がある
- 人脈がある
- 自分を正しく理解している
ここからは、それぞれの特徴について詳しく紹介します。
1.考え方に柔軟性がある
柔軟な考え方ができる人は、たとえ50代でも転職が成功しやすいといわれています。
年齢を重ねるごとにこれまでのキャリアやスキルに固執しやすく、これが選択肢を狭める原因になることもあります。しかし、ある程度年齢を重ねても企業側が求めることに自分を合わせられるような柔軟な考え方を持つことで、さまざまな選択肢を広げられます。
新しいことを学ぶ姿勢を忘れないでいる方は、企業からも高く評価される傾向にあります。変化を恐れずに視野を広げることが50代からの転職成功のカギです。
2.人脈がある
50代でも転職先がすぐに決まる人の中には、これまでに築いてきた人脈を活かしているケースが多くあります。
転職先を見つける方法は、ハローワークや転職サイト、エージェントを利用するだけではありません。知人からの紹介で転職につながることもあり、特に紹介による転職はスキルや適性をよく理解してもらえるため、採用されやすい傾向があります。
積極的に人脈を活用し交流を大切にする姿勢が、50代からの転職成功を大きく後押ししてくれます。
3.自分を正しく理解している
50代からの転職で成功する人は、自分自身の市場価値をよく理解しています。
客観的な視点で自分を評価することは転職活動において大事なポイントです。過大評価することなく、現時点で活用できるスキルに見合った転職先を検討することでスムーズに転職活動が進みます。
50代からの転職がすぐ決まらない人の特徴
50代からの転職活動では、始めて数ヶ月から1年以上転職先が決まらないというケースも珍しくありません。そのような人には主に3つの特徴が見られます。
- 待遇にこだわりすぎる
- コミュニケーション方法のミスマッチ
- 準備不足
上記の特徴について、懸念される点とともに詳しく紹介します。
1.待遇にこだわりすぎる
家族や自身の生活の基盤となる待遇について、一定のこだわりを持つことは大切です。ただし、希望年収や福利厚生といった待遇面にこだわりすぎてしまうと転職活動が長期化する傾向があります。
特に、高年収にこだわりすぎてしまう、企業の予算と合わず、なかなか採用までつながらない可能性があります。以前は年功序列の考えが企業と労働者の両方に深く浸透していたため、年齢を重ねればそれなりに高い待遇が受けられました。
しかし、近年では勤続年数や年齢に関係なく、職務内容や成果に見合った年収を設定する企業が増えています。このような事情を考慮し、転職時の希望の待遇についてはある程度柔軟に考える必要があります。
2.コミュニケーション方法のミスマッチ
20代30代の若い世代の転職活動とは違い、50代での転職活動では企業の採用担当者が年下のケースが多くあります。
特に気を付けたいのが、今までの経験があるがゆえのプライドが邪魔をしてしまうことです。採用担当者が年下だからといって、横柄な態度や馴れ馴れしい態度をとってしまうと、コミュニケーションが懸念材料となり、採用につながらない原因となります。
反対に、現状維持や受け身、自信がないようなコミュニケーションも採用後の活動に不安が残ってしまい、印象が良くありません。転職活動では、企業がどのような人を求めているのかを考え、真摯な態度で転職活動を行うことが大切です。
3.準備不足
年齢に関係なく、自己分析や企業分析を怠ってしまうと、スムーズな転職活動が難しくなってしまいます。特に、今までの経験に自信を持っている人は、「自身のことをよく理解している」と油断し、客観的な視点を欠いてしまうケースも少なくありません。
転職は、求職者のシーズと採用企業側のニーズがマッチすることが肝要です。これらを理解するために自身や企業について冷静にかつ客観的な分析が求められます。
転職準備である自己分析・企業分析が不十分な場合、企業選びや履歴書の作成、面接対策などに時間がかかり転職が長期化する事態になり得ます。効率的な転職を行うためにも、企業の求めていることをよく理解し、自分自身の強みをアピールできるように自己分析も怠らないようにしましょう。
50代からの転職で準備しておくべきこと
50代からの転職で採用企業側が懸念するポイントの1つは、「新しい環境に馴染むための柔軟性や学習意欲があるかどうか」です。これまでの経験があるからといって慢心せず、つねに新しいことを学ぶ謙虚な姿勢が大切です。
50代の転職を成功させるために準備しておくべきことについて見ていきましょう。
新しいスキルを磨く
50代の転職は、「時代の流れに柔軟に対応できるか」という点が評価ポイントになります。職種や仕事内容によって異なりますが、以下のようなソフトやツールを使いこなすスキルは、幅広い職場で求められます。
▼使いこなすスキルが求められるソフトやツール
- 表計算や文書作成、プレゼン資料作成などに使用するオフィスソフト
- オンライン会議ツール
- ビジネスチャットツール
特に、在宅勤務が増えた現在では、オンライン会議での画面共有やWEBカメラ、マイクの操作を問題なく行えるかという点も重視されます。また、電話やメールと同様にビジネスチャットでの連絡手段が主流になっている会社も多く、コミュニケーションのスピード感に順応できるかも重要なポイントです。50代の転職では、こうしたツールを使いこなすスキルは、他の求職者との差別化につながります。
自分の市場価値を正しく理解する
50代の転職では、今までの仕事内容や実績、スキルなど自分自身の経験を棚卸ししておくことが重要です。
採用する企業側は、若手とは異なる50代ならではの経験や実績に基づいた活躍を期待しています。自身の分析が不足していると、自分が提示する希望条件と企業が提示する評価にギャップが発生する恐れがあります。客観的な視点で自分を分析し評価することで、正しく等身大の自分を理解することが転職成功へとつながります。
50代からの転職は自分を理解することから
50代からの転職では、何よりも自分をまず理解すること、そして転職の際は企業とのマッチングが大切です。自分が求めている条件と企業が求めている人材がマッチすることで初めて採用につながります。
そのためには、客観的な視点から自分の市場価値を正しく把握する必要があります。自分だけで分析が難しい場合は、キャリアに特化したアドバイザーやコーディネーターなどの専門家へ相談しましょう。自分の経験やスキルを踏まえたアドバイスやサポートを受けることができます。
ミドル・シニア世代のためのキャリア相談サービス『CanWill』では、キャリアコンサルタントが転職のサポートを行っています。「自己分析を行いたいけど客観的な評価をするのが難しい」「転職をスムーズに進めていきたいけど何から準備すべきか分からない」など、転職に関する悩みを抱えている方は、ぜひご相談ください。経験豊富なアドバイザーがキャリアに関するお悩みを解決し、転職成功のお手伝いをいたします。