転職の際、円満に退職しておくべき本当の理由

転職の際、円満に退職しておくべき本当の理由

転職先が決まって退職する際、どんな会社の去り方をしますか?

エン・ジャパン(株)の円満退職実態調査によると、22%は円満退職できなかったと回答していますし、他社の円満退職調査でも3割が円満に退職できないという調査結果もありました。

なぜ円満に退職する必要があるのか、転職で会社を去る側の立場と会社に残る側の立場で考えてみます。

会社に残る側からみた退職予定者の扱い

まずは会社に残り続ける職場の上司、同僚の立場で考えてみましょう。

転職するあなたを送り出したあとの最優先事項は、退職で生じた業務の穴をどうやってカバーするかです。当面は他の社員に仕事をカバーしてもらいつつ、長期的には社員の採用まで考える必要があるかもしれません。

退職するあなたに対して、会社は業務に支障のないスムーズな引継ぎを望んでいます。退職の意思を示した時点から、もはや「いなくなる人」として考えられるので、厳しい言い方をすれば、引継ぎさえしっかりやってもらえば、あとは送別会を用意すればいいだけです。

これまでの会社への貢献や感謝の意は、もちろんあると思うのですが、会社に残って働く上司や同僚の立場で考えるのなら、優先するのはあなたではなく、あなたが抜けたあとの会社の未来です。

転職先が決まったあなたが、今まで溜まっていた会社や上司に対する恨みつらみを爆発させて、スッキリ退職したい気持ちも分からないでもありません。仕事に耐え抜いた毎日のストレスを吐き出してからでないと前に進めない、退職時に一区切りつけたくなるのは当たり前の感情です。

しかし、未来のあるあなたが過去に囚われ過ぎて、会社の未来に集中している上司や同僚に不満をぶつけたところで、ほとんど意味はありません。次の会社のことに、気持ちを切り替えるべきです。

円満に退職する最大のメリットとは?

今度は、転職で会社を去るあなたの立場で、円満退職するメリットについて考えます。

円満に退社したあとにやってくるもの、それは人間としての本当の付き合いです。在籍中は、上司や同僚は目の上のたんこぶであり、ライバルであったかもしれません。仕事において、イヤな存在と思ったこともあったでしょう。

一方で、あなたの仕事ぶりを最も近くで見てきた人でもあります。仕事抜きで退職後も付き合いを続けたいと考えている仲間もきっといるはずです。そうしたつながりが、将来の転職につながる場合もあります。

退職から何年かして、あなたをスカウトしたいと考える元同僚や上司が現れるかもしれません。出戻りの可能性もありますし、元同僚や上司が転職した先の会社から声が掛かり、リファラル採用につながるかもしれません。

会社に所属していれば、人間的に難のある人でも、仕事の配置をしなければなりませんが、退職した人に関しては自分の好きな人だけに声を掛けます。その場合も、送別会の最後の言葉で不平不満をぶちまけて終わった印象の悪い人より、何事もなく円満に巣立った人のほうが声を掛けやすいと思いませんか?

もし転職に失敗して前の会社に戻りたい、新しく採用した社員が機能しなかったのでもう一度戻ってきて欲しいとなったとき、円満退社していれば戻りやすいですが、ケンカ別れすればおそらく声はかかりません。円満退職しておけば、転職に失敗したときの保険になる場合もあります。

結局、退職をしても声を掛けたいと思う人材は、スキルも大切ですが人間的に認められる人です。一旦、縁が切れたあとでもまた仕事を一緒にやりたい思える、魅力ある人なのかどうかです。

わたしの知人が送別会の最後に、長年勤めてきた会社に対する恨みつらみを吐き出して終わりました。本人はスッキリして退職しましたが、それを聞いていた上司や同僚は会社への貢献以上に、最後の言葉のほうが印象に残ったと言っていました。しかもそれが最後の瞬間になってしまったので、記憶のアップデートがされることなく、未だに更新されずに残っています。

どんなに会社や上司に不満があったとしても、円満退職は未来の自分への投資にもなります。腹が立っても、計算高く振舞ったほうが、未来の自分にとってプラスになることもあるので、円満に退社したほうがいいでしょう。

CanWillとは

『Can Will』では、第一線のキャリアコンサルタントが、ミドル・シニア世代のあなたの強みや志向を掘り下げて、納得感の高いキャリア相談を行っています。 「転職すべきか、今の会社で働き続けるべきか?」、「自分の強みが分からない」、「職務経歴書の書き方が分からない」、「自分の市場価値について客観的な評価ほしい」。 このようなキャリアに対するお悩みやモヤモヤがありましたら、ぜひ一度『Can Will』のキャリアプロフェッショナルにご相談ください。